2023年SiCパワーデバイス世界売上高ランキング、首位はST:onsemiは順位2つ上げ2位に(1/2 ページ)
市場調査会社のTrendForceはSiCパワーデバイス市場についての調査を発表した。それによると、2023年の市場シェアはSTMicroelectronicsが32.6%を占めて首位となり、onsemiは23.6%で前年の4位から2位に浮上した。続くInfineon Technologies、Wolfspeed、ロームを含めた上位5社が総売上高の91.9%を占めていたという。
台湾の市場調査会社TrendForceは2024年6月20日(台湾時間)、SiC(炭化ケイ素)パワーデバイス市場についての調査を発表した。それによると、2023年の市場シェアはSTMicroelectronics(以下、ST)が32.6%を占めて首位となり、onsemiは23.6%で前年の4位から2位に浮上した。3位はInfineon Technologies(以下、Infineon)、4位はWolfspeed、5位はロームだった。なお、上位5社で同市場総売上高の91.9%を占めていたという。
TrendForceは、2023年のSiCパワーデバイス市場について、主にバッテリー電気自動車(BEV)用途のけん引により力強く成長したと分析。2024年はAI(人工知能)サーバ需要が大幅に増加するとみるものの、BEV用途の成長が鈍化し、市場全体での成長は大きく減速すると予測している。
STは垂直統合バリューチェーンを実現
車載SiC MOSFETの主要サプライヤーであるSTは、イタリアのカターニアに完全統合型のSiCデバイス製造工場を建設中で、2026年までの稼働開始を予定。さらに、STと三安光電が中国に設立した工場も2024年末までに稼働開始を予定する。三安光電が提供する現地の後工程生産ラインと基板材料工場を組み合わせ、STは中国で垂直統合のSiCバリューチェーンを実現することになる。
車載が好調のonsemiとInfineon
onsemiのSiC事業は、主に車載用の「EliteSiCシリーズ」によって近年急速に進展している。韓国富川市にある同社のSiCウエハー工場は2023年に拡張を完了し、2025年に関連技術検証を完了した後、6インチウエハーから8インチウエハーに生産を移行する予定だ。GT Advanced Technologies(GTAT)を買収して以来、onsemiのSiC基板材料の自給率は50%を超えた。2024年6月にはチェコに垂直統合型のSiC製造施設を設置することも発表している。材料生産能力の増強で利益率50%の達成を目指す。
InfineonのSiCの売上は50%近くが産業用途だが、マレーシア・クリム工場の主要顧客であるSolarEdge Technologiesの不調でInfineonも影響を受けているという。一方で車載事業は、スマートフォン大手のXiaomi初の電気自動車(EV)「Xiaomi SU7」に複数製品が採用されるなど堅調だ。
InfineonのSiC生産能力拡大は他社と比べて遅れていたが、TrendForceによると、市場の逆風の中でそれがむしろ有利に働いているという。他の大手SiCメーカーと違いInfineonはSiC結晶材料の自社生産能力を持たない、サプライチェーンの安定性に向けて多様なサプライヤーシステムを積極的に推進している。
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