最新ドローンを分解 半導体は「ほぼ中国製」:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(84)(1/3 ページ)
今回は、2024年に日本で発売されたドローン2機種を紹介する。すっかり身近になったドローンを分解すると、数多くの中国製半導体が使われていることが分かる。
今回は2024年に日本で発売されたユニークなドローン2機種を取り上げる。ドローンという言葉もドローン自体も身近なものになって久しい。ドローンの内部(半導体を中心に観察)はこの数年で大きく変化を遂げている。従来のドローンは自律飛行を前提としたものは少なく、ドローン本体とワイヤレスコントローラー(ゲーム機のコントローラーとほぼ同じ構造)で構成されていた。ワイヤレスコントローラーで離陸着陸から飛行操作を行うものがメインであった。今回報告の2機種にはどちらもゲーム機型のコントローラーは付属されていない。
膨大な数の機能半導体を搭載
図1は2024年4月に日本でも発売された中国DJIのFPV(First Person View)の第2世代「AVATA 2」の梱包箱、本体ドローン、内部のフライトおよび画像処理プロセッサ基板である。FPVはドローン本体とゴーグルで構成されており、ドローンに装着されるカメラ映像を送信し、リアルタイムにゴーグルで見ることができる。DJIのFPVとしては2021年にFPV Comboという製品が発売されているが、小型化、高機能化したAVATAシリーズは2022年に第1世代品が発売された。
第1世代のAVATAは大きな話題となったものの日本では未発売であった。第2世代のAVATA 2は、第1世代機に比べて一回り大きくなっている(180mm → 212mm)が、重量は410gから377gと軽くなった。内部は4つの機能部で構成されている。飛行用のモーターとモーター制御基板、空撮用カメラと衝突回避用のAPAS(Advanced Pilot Assistant System)センサー(モーションセンサーと下部カメラ、TOF:Time of Flight)、画像処理、通信処理、飛行制御を行うコンピュータ処理基板、電池の4点である。
図1下はコンピュータ基板の様子。基板上に通信チップ、通信用パワーアンプ、カメラ画像やAPASセンサーからのデータ処理用プロセッサ、画像処理データを得て衝突しない(あるいは自律飛行を行う)飛行を行うために空間認識を行い、制御を行うチップ群がずらりと並んでいる。自動車のADAS(先進安全運転支援)に類似あるいは匹敵する構成だ。コンピュータ処理基板、カメラ基板、モーター制御基板まで合わせたAVATA 2ドローン本体に搭載される機能半導体の個数は52個と非常に大きな数字となっている。52個の機能半導体は最新のスマートフォンよりも多い。同じ基準で半導体数をカウントすると、Samsung Electronicsの「Galaxy S24」(グローバルモデル)が45個。AVATA 2は本体だけで最上位スマートフォンを上回っているわけだ。AVATA 2ドローン本体に搭載されている52個の半導体の内36個が中国半導体メーカー製となっている。中国製比率は極めて高い。AVATA 2にはドローンとゴーグルだけでなく片手で持つことができるジョイスティックコントローラーも付属されるが、コントローラーは機体の向き変えや速度調整(アクセルとブレーキ)だけとなっており、ほぼ直観的に操作できるものとなっている。
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