onsemiがSWIR Vision Systemsを買収 イメージセンサーを強化:CQDベースのSWIR技術を保有
onsemiは2024年7月2日(米国時間)、CQD(コロイド量子ドット)ベースの短波長赤外線に関する特許技術を保有するSWIR Vision Systemsの買収を完了したと発表した。onsemiのCMOSイメージセンサーと組み合わせることで、次世代センシング製品のポートフォリオ拡充を図る。
onsemiは2024年7月2日(米国時間)、CQD(コロイド量子ドット)ベースの短波長赤外線(SWIR)に関する特許技術を保有するSWIR Vision Systemsの買収を完了したと発表した。
今回の買収によりonsemiは、シリコンベースのCMOSイメージセンサーと製造ノウハウをCQD技術と組み合わせることで、高集積SWIRセンサーを低コストで大量に生産することや、高性能センシング製品のポートフォリオ拡充が可能になる。
CQDベースのSWIR技術は、検出可能な光スペクトルを拡大し、従来は難しかった物体を透過して画像を撮影する技術だ。システムの可視性と検出能力を、標準的なCMOSイメージセンサーの範囲を超えてSWIR波長にまで拡張できる。産業用途では、高密度の材料、ガス、布地、プラスチックを透過して、監視システム、シリコン検査、マシンビジョンイメージングや食品検査などが可能になる。車載用途では、スペクトルが拡大することで、極端な暗闇、濃い霧、冬のまぶしさなど、困難な条件下での視認性を向上させられる。
従来のSWIR技術は、インジウム・ガリウム・ヒ素(InGaAs)プロセスが高コストで製造も複雑であったため採用が限定的だった。SWIR Vision Systemsは、波長の長い光を吸収するように精密に調整できる光学的/電子的特性を持つナノ粒子または結晶を使用したCQDをベースとしたセンサー技術を開発することで、製造規模とコストの課題を改善した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- オンセミ、チェコに最先端のSiC製造施設を設置
オンセミ(onsemi)は、チェコに最先端のSiC(炭化ケイ素)製造施設を設けると発表した。垂直統合型の製造拠点で、複数年にわたり最大20億米ドル(440億チェココルナ)の投資を計画している。 - onsemiが新開発のAFEチップを公開、高精度の電気化学センシングを超低消費電力で
onsemiが、高精度の電気化学センシングを低消費電力で実現する、小型アナログフロントエンド(AFE)「CEM102」を開発し、ドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2024」(2024年4月9〜11日)で初公開した。 - 年100万枚以上のSiCウエハー生産へ、onsemiが韓国で工場拡張
onsemiが、韓国富川市のSiCウエハー製造工場の拡張を完了した。同工場はonsemiにとって最大かつ最新鋭のSiC製造施設となり、フル稼働時には年間100万枚以上の200mm SiCウエハーの生産が可能になるという。 - 「日本は有利」、自動車と産機で事業拡大を狙うオンセミ
2022年3月にonsemiの日本法人社長に就任した林孝浩氏に、この1年半の変化や、onsemiの戦略について聞いた。 - 「完全な垂直統合」でSiCビジネスの拡張に自信、onsemi CEO
onsemiは2023年11月に記者説明会を実施し、CEO(最高経営責任者)であるHassane El-Khoury氏が、事業戦略を語った。同氏が、日本で開催された記者説明会に登壇するのは、2020年12月のCEO就任以降、初めてである。