検索
連載

日本の20倍もの学生が毎年卒業する中国の大学教育福田昭のデバイス通信(466)ECTC現地レポート(4)(1/4 ページ)

「ECTC 2024」のプレナリーセッションの最終日(2024年5月31日)には、半導体業界の人材育成に関するパネル討論が行われた。その中から中国Central South University(中南大学)と米国Texas Instrumentsの講演を紹介する。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

中国のマイクロエレクトロニクス教育と米国企業の人材育成策

 半導体のパッケージ技術とはんだ付け技術の研究開発成果を披露する国際学会「The 2024 IEEE 74th Electronic Components and Technology Conference」(略称は「ECTC 2024」)が2024年5月28日〜31日(現地時間)に米国コロラド州デンバーのガイロードロッキーズリゾートアンドコンベンションセンター(Gaylord Rockies Resort & Convention Center)で開催された。

 「ECTC(イーシーティーシー)」は、実装技術(半導体のパッケージ技術や半導体を基板にはんだ付けする技術などの総称)分野では最も良く知られた国際学会であり、同分野では世界最大の開催規模を誇る国際学会でもある。

 筆者は11年ぶりに、ECTCを現地取材する機会に恵まれた。そこで本コラムの第463回から、「ECTC 2024」の現地レポートをシリーズでお届けしている。ECTCの会期は4日間(火曜日から金曜日)で、始めの1日間は「プレイベント(前日イベント)」日として技術講座(別料金)やワークショップ、パネル討論会などを実施する。前日イベントの様子は本シリーズの初回でお伝えした。

 前日イベントに続く3日間が、「メインイベント(技術講演会およびポスター発表)」と「サブイベント」となる。またメインイベントの初日と2日目には展示会が開催される。

 メインイベント(技術講演会およびポスター発表)は3日間とも、プレナリーセッション(「メインステージモーニングセッション」と呼称)から始まる。初日(29日)はキーノート講演、翌日(30日)はベンチャー企業(スタートアップ企業)によるショート講演と質疑応答、最終日(31日)は人材(主に技術者と研究者)の育成に関するパネル討論である。

プレナリーセッション(メインステージモーニングセッション)の主な日程。筆者がECTCの公式Webサイトやプログラムなどからまとめたもの
プレナリーセッション(メインステージモーニングセッション)の主な日程。筆者がECTCの公式Webサイトやプログラムなどからまとめたもの[クリックで拡大]

 本シリーズの第2回(前々回)では、プレナリーセッション(メインステージモーニングセッション)の初日と2日目の概要を報告した。続く第3回(前回)は、3日目(最終日)の前半を簡単にご説明した。今回は3日目(最終日)の後半をご紹介する。

 31日(技術講演会の3日目)に実施されたプレナリーセッション(メインステージモーニングセッション)の概要。テーマは「Challenges in Education and Workforce Development in the New Chips Economy(近未来の半導体産業における教育と人材開発の課題)」である。ECTCの公式Webサイトの掲載資料から
31日(技術講演会の3日目)に実施されたプレナリーセッション(メインステージモーニングセッション)の概要。テーマは「Challenges in Education and Workforce Development in the New Chips Economy(近未来の半導体産業における教育と人材開発の課題)」である。ECTCの公式Webサイトの掲載資料から[クリックで拡大]

 前回でもご説明したように、プレナリーセッション最終日には人材(主に技術者と研究者)の育成に関するパネル討論が実施された。その中から、人材の育成に関わるいくつかの組織(大学や企業、研究機関など)による短い講演(ショート講演)の概要をご報告した。

 ショート講演に登壇したパネリストは5人。3人は米国の業界団体と研究組織、企業、1人はフィンランドの政府系産業振興公社、1人は中国の大学を代表して講演した。講演の順番は米国SRC(Semiconductor Research Corp.)、フィンランドBusiness Finland、米国NY CREATES(New York Center for Research, Economic Advancement, Technology Engineering and Science)、中国Central South University(中南大学)、米国Texas Instrumentsである。前回はフィンランドBusiness Finlandと米国NYCREATES(New York Center for Research, Economic Advancement, Technology Engineering and Science)によるショート講演の概要を説明した(SRCの講演は個人的なトラブルによって聴講できなかった)。

 今回は中国Central South University(中南大学)と、米国Texas Instrumentsのショート講演をそれぞれ、ご紹介する。

プレナリーセッション「Challenges in Education and Workforce Development in the New Chips Economy」のパネリスト一覧。ショート講演でパネリストが所属する組織の活動を紹介するとともに、技術者の需要と育成に関する課題を説明した。ECTCの公式Webサイトに掲載された資料に、講演者に関する筆者の調査結果を追加したもの
プレナリーセッション「Challenges in Education and Workforce Development in the New Chips Economy」のパネリスト一覧。ショート講演でパネリストが所属する組織の活動を紹介するとともに、技術者の需要と育成に関する課題を説明した。ECTCの公式Webサイトに掲載された資料に、講演者に関する筆者の調査結果を追加したもの[クリックで拡大]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る