ハイブリッドボンディングテストを支援する超音波顕微鏡:AIで品質保証の自動化も(2/2 ページ)
ハイブリッドボンディングを高い歩留まりで量産化するには、接合層内部のクラックやボイドなどの欠陥を迅速に特定できる最先端の計測ツールが必要だ。米国の産業用超音波非破壊検査(NDT)システムメーカーであるPVA TePla OKOSは、超音波顕微鏡(SAM)をベースとしたソリューションを手掛けている。
音波でスキャンし2D/3D画像を生成
ハイブリッドボンディングでは、さまざまな手順を確実に実行して品質を保証しなければならない。このプロセスは、前工程ファブでウエハー/ダイを製造するところから始まる。その次の重要ステップには、プレボンディング(Pre-bonding)層の準備/作成や、ボンディングプロセスそのものの他、ポストボンドアニール、各手順における関連検査/計測などが含まれる。
しかし、既存のSAM技術では、ウエハーはチャックの中で水平に保持され、水媒質の中で処理される。その結果、水が浸入して次の組立工程に重大な問題が生じる可能性があるのだ。一方、チャックを垂直方向に再設計すると、他の水管理技術を採用しながら、水が浸入する心配を払拭することができる。
SAMは、トランスデューサーからの集束音波を、対象物に小さな点として向ける。物体に当たった音波は、散乱/吸収/反射/伝送される。その結果、散乱したパルスの方向やToF(Time of Flight)を検出することにより、境界や物体の存在とその距離を決定することができる。そして次に、サンプルを1点ずつ詳細にスキャンして、画像を生成する。
ここで注意すべき点は、走査モードが単層ビューからトレイスキャンや断面まで多岐にわたり、マルチレイヤースキャンは最大50の独立層を備えうるということだ。このプロセスでは、深さに特化した情報を抽出し、それを適用して2D/3D画像を作成することができる。そして画像を解析し、クラックやデラミネーション、ボイドなどの欠陥を検出/特定する。
AI活用で品質保証自動化を目指す
Polu氏は、「W2WのハイブリッドボンディングのSAM検査からデータを収集してAI(人工知能)ベースの解析が進化すれば、品質保証の自動化が進み、ファブの生産量は増加していくだろう。ウエハーチャックの設計やアレイトランスデューサ、検査データのAI分析などでイノベーションを起こし、ハイブリッドボンディングに携わるファブに向けてより堅牢なSAMソリューションを提供すべく注力していく」と述べている。
「ファブがより高度な故障検知/解析を活用するようになれば、高性能チップの生産歩留まりや全体的な信頼性が大幅に向上していくだろう。ハイブリッドボンディングに必要とされる検知レベルや精度などから、最終的には全てのファブがこのようなレベルの故障解析へと移行していくとみられる」(Polu氏)
特に、ウエハーやダイ、相互接続などに1つでも不良が発生すると、パッケージ全体を廃棄しなければならない可能性があるため、これまで以上に危険度が高まっている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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