Merck、フランス半導体検査装置メーカー買収へ:AIチップ向けの能力を強化
ドイツの化学大手Merckが、半導体業界向けの計測/検査装置を手掛けるフランスのUnity-SCを買収する。規制当局による承認などの関連要件を満たすことを条件とし、2024年末までに買収を完了する予定だ。
ドイツの化学大手Merckは2024年7月18日(ドイツ時間)、半導体業界向けの計測/検査装置を手掛けるフランスのUnity-SCを買収すると発表した。買収額は1億5500万ユーロに加え、マイルストーンベースの追加代金も予定しているという。規制当局による承認などの関連要件を満たすことを条件とし、2024年末までに買収を完了する予定だ。
Unity-SCはフランス・グルノーブル近況のモンボノ・サン・マルタンに本拠を置く半導体業界向けの計測/検査装置メーカーで、従業員は約160人でうち70人が研究開発に従事している。Unity-SCは先進パッケージングやヘテロジニアスインテグレーションを用いたチップのテストを得意としているといい、Merckは、Unity-SCについて、「同社の高精度計測装置は、AI(人工知能)、高HPC(高性能コンピューティング)、HBM(高帯域幅メモリ)関連のアプリケーションで使用されるチップの品質、歩留まり、製造コストのさらなる最適化を可能にする」と評価。今回の買収によって「次世代チップの開発における顧客のための『統合ソリューションプロバイダー』として、AIの成長機会から利益を得る能力を強化する」とコメントしている。
Merckのエレクトロニクス・ビジネスCEO(最高経営責任者)を務めるKai Beckmann氏は、「当社は、3D計測装置が半導体産業をさらに発展させると確信している。Merckのポートフォリオに計測技術を加えることで、これまで以上に高速で、より強力かつ効率的なチップを開発するという顧客の課題を効果的に解決する、多くの材料とソリューションを提供可能となる」とコメントしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 独化学大手Merck、半導体材料の日本拠点に135億円超投資
ドイツの医薬/化学品大手Merckは2022年4月26日、日本のエレクトロニクス事業部門に対して、2025年までに1億ユーロ(約135億円)以上の投資を行うと発表した。半導体材料の研究開発(R&D)、製造における主要拠点である静岡事業所の強化が中心だ。 - ドイツ化学大手、台湾で半導体材料の新工場を着工
ドイツの化学大手Merckは2023年2月8日(ドイツ時間)、台湾・高雄市において、半導体材料の新工場の建設を開始した。2025年に稼働予定で、薄膜、パターニング用の特殊ガスおよび半導体材料を生産する。 - 半導体サプライチェーンを合理化するシステム
ドイツの多国籍企業であるMerckの半導体材料部門と米国のデータ分析のスペシャリストであるPalantir Technologies(以下、Palantir)は、半導体メーカーとサプライヤーを対象とするコラボレーションプラットフォームを介して半導体不足の解消に取り組むために技術提携したと発表した。 - 次は米国で勝負 レゾナックらが次世代パッケージコンソーシアム設立
レゾナックは2024年7月8日、次世代半導体パッケージング分野において、日米の半導体材料/装置メーカー10社によるコンソーシアム「US-JOINT」を設立すると発表した。拠点はシリコンバレーで、半導体メーカーや大手テック企業といった顧客との連携を深める狙いだ。 - ECTCのプレナリーセッションで新材料のスタートアップ3社を紹介
引き続き、「ECTC 2024」の現地レポートをお届けする。2024年5月30日のプレナリーセッションでは、半導体パッケージングのスタートアップ企業3社が講演を行った。今回は、この3社のプレゼン内容を紹介する。 - レゾナック、AI半導体向け絶縁接着フィルムと放熱シートを増産
レゾナックは、AI半導体など高性能半導体に向けた絶縁接着フィルム「NCF」と放熱シート「TIM」を増産する。設備投資額は約150億円を予定しており、増産ラインは2024年以降にも順次稼働の予定。