カネカの牛乳、富士フイルムの美容液……意外な事業の裏にある時代の変化:電子機器設計/組み込み開発メルマガ 編集後記
「パン好きの牛乳」はおいしさもさることながら、他の商品とは違うと思わせるネーミングセンスや、パンと並べて販売するという手法が見事だと思います。
この記事は、2024年9月9日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。
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カネカの牛乳、富士フイルムの美容液……意外な事業の裏にある時代の変化
先日パン屋のレジに並んでいて、ある商品と目が合いました。その名も「パン好きの牛乳」です。
私はパンが大好きです。だから、パン好きの牛乳とは私の牛乳ということです。それ以上は考えず、すぐに手に取りました。
帰宅後に冷静になってようやく「この牛乳は何をもってパン好きの牛乳を名乗っているのか」と思い始めて調べてみると、製造元であるカネカ食品のWebサイトが出てきました。ベルギーの乳業メーカーPUR NATUR(ピュアナチュール)と技術提携した製法で加熱時間と温度を調節し、すっきりとした後味に仕上げているそうです。そのため、パンの味を邪魔しないのだとか。確かに飲みやすい牛乳で、明太フランスパンにもよく合いました。
それよりも気になったのは製造元、カネカの子会社であるカネカ食品です。カネカといえば化成品の印象が強かったため、牛乳を製造していることは意外でした。牛乳にカフェオレとミルクティーを加えた「パン好きシリーズ」は2022年9月時点で累計1000万本を売り上げるなど、好調なようです。
調べてみると、カネカは創業初期の1950年代からマーガリンなどを製造していたようですが、B2Bの食品材料が中心で、B2Cの乳製品事業に参入したのは2018年のことでした。その背景には、後継者不足や労働力不足が嘆かれる近年の国内酪農業への問題意識があったそうです。乳製品事業参入時のプレスリリースには「酪農家と共に魅力ある酪農業を考え、持続可能な酪農を推進することを事業展開の理念とする」との言葉がありました。
このほかにも「この企業がこんな事業もやっているんだ」という意外な例は、実は多いように思います。
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