低温で接合後に融点480℃に、田中貴金属独自のシート状接合材:PCIM Europe 2024
田中貴金属グループの製造事業を展開する田中貴金属工業および田中電子工業は、ドイツ・ニュルンベルクで開催された世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2024」に出展。独自開発の低温で接合可能ながら高温耐熱性を持つ独自開発のシート状接合材である「AgSn TLPシート」などを展示していた。
田中貴金属グループの製造事業を展開する田中貴金属工業および田中電子工業は、ドイツ・ニュルンベルクで開催された世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2024」(2024年6月11〜13日)に出展。独自開発の低温で接合可能ながら高温耐熱性を持つ独自開発のダイボンディング材である「AgSn TLP(Transient Liquid Phase Diffusion Bonding)シート」など、両社が扱うパワーデバイス向け製品を一挙展示していた。
田中貴金属グループは1885年の創業以来、貴金属を中心とした事業領域で幅広く展開している。現在、事業の約8割は産業向け貴金属関連材料だといい、半導体用材料でも幅広い製品ラインアップとおよび長い歴史を持つ。その代表格がボンディングワイヤで、メモリやロジックチップなどで用いられる金ワイヤの他、高電圧/大容量対応が求められるパワー半導体用で需要が高いアルミや銅ワイヤにおいて世界トップクラスのシェアを有しているという。その他にも貴金属めっきや、半導体チップをリードフレームや有機基板に接着する「ダイボンディング材」などさまざまな半導体用材料を扱っている。
今回、会場では、パワーデバイス用途に多く採用されるアルミおよび銅ボンディングワイヤ/リボンの他、パワーデバイス用セラミックス回路基板およびヒートシンクなどの放熱部材への適用が期待されている「活性金属ろう材/銅 複合材」、そしてパワーデバイス用途のシリコンおよび、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)など次世代パワー半導体に対応する銀(Ag)を用いたダイボンディング材などを紹介していた。
ダイボンディング材では、高熱伝導と高信頼性の両立が可能なハイブリッド接合タイプと200W/m・Kを超える高熱伝導シンタリングタイプをラインアップにそろえる。
今回会場ではさらに、新たなダイボンディング材として、「AgSn TLPシート」を紹介していた。
同製品は、Agとすず(Sn)を圧縮成形した独自開発のシート状ボンディング材で、低温で接合可能でありながら、接合後は高い耐熱性を持つという製品だ。展示していたパネルでは250℃で接合後、融点は480℃と高温耐熱性を示していることを紹介していた。さらに低加圧で接着でき、シート状のため大面積の接合も容易に対応可能という利点もあり、パワー半導体用を中心に、ダイボンディング材およびTIM材(熱伝導材料)としての採用を期待しているという。なお、同製品は顧客による評価が行われている段階で、展示会などでの公開は今回が初だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「融点が変わる」はんだ材料 実装温度は250℃、耐熱温度はそれ以上
千住金属工業は、「オートモーティブワールド2024」にて、融点変換型はんだ材料「TLP PREFORM」「TLP PASTE」や低温ではんだ付けできるソルダリングソリューション「MILATERA(ミラテラ)」を紹介した。 - 半導体高密度実装向け接合技術、田中貴金属が開発
田中貴金属工業は、金・金接合用低温焼成ペースト「AuRoFUSE(オーロフューズ)」を活用し、半導体チップを高密度実装するための接合技術を確立した。 - ミネベアパワーデバイス、EV向けSiCパワーモジュール開発品を初公開
ミネベアパワーデバイス(旧:日立パワーデバイス)がドイツ・ニュルンベルクで開催された世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2024」において、開発中の電気自動車(EV)向けSiCパワーモジュールを初公開した。同社独自の構造である「VC Fin-SiC」構造のSiC トレンチMOSFETを採用する予定で、量産に向けて開発を進めているという。 - 「2年ごとに新世代を投入」ロームがSiC MOSFET開発を加速、25年の第5世代以降
ロームはSiC MOSFETの開発を加速し、2025年に予定する第5世代品のリリース以降、2027年には第6世代、2029年に第7世代と2年ごとに新世代品を投入する計画を明かした。1世代ごとにオン抵抗を30%削減するという。 - 世界最大規模のパワエレ展示会「PCIM Europe」開幕
世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2024」が、ドイツ・ニュルンベルクで開幕。33カ国以上から集まった620以上の企業/団体が、パワーエレクトロニクス分野の最新技術やイノベーションを紹介している。 - 田中貴金属工業、プローブピン向け新合金を発表
田中貴金属工業は、半導体の検査工程で用いるプローブカードやテストソケットのプローブピンに向けた新合金「TK-FS」を発表した。