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半導体高密度実装向け接合技術、田中貴金属が開発:AuRoFUSEプリフォームを用いて
田中貴金属工業は、金・金接合用低温焼成ペースト「AuRoFUSE(オーロフューズ)」を活用し、半導体チップを高密度実装するための接合技術を確立した。
20μmサイズで4μm間隙の狭ピッチ実装を実現
田中貴金属工業は2024年3月、金・金接合用低温焼成ペースト「AuRoFUSE(オーロフューズ)」を活用し、半導体チップを高密度実装するための接合技術を確立したと発表した。
AuRoFUSEは、粒径がサブミクロンの金(Au)粒子と有機溶剤を混ぜたペースト状の接合材料である。200℃まで加熱すると溶剤が蒸発し、荷重を掛けなくてもAu粒子が焼結接合して、約30MPaの接合強度が得られるという。
今回は、AuRoFUSEプリフォーム(乾燥体)を用い、20μmサイズで4μm間隙の狭ピッチ実装を実現した。AuRoFUSEプリフォームの特長は、低温かつ低加圧で金属接合できることだ。具体的には、200℃かつ20MPaで10秒間、熱圧着すると圧縮方向の収縮率は約10%だが、水平方向に対する変形は少ないという。このため、十分な接合強度を持つAuバンプとして活用できる。
特に今回は、接合前にペーストを乾燥させて流動性をなくした。このため、加圧時でも横への広がりを抑えて高密度実装を可能にした。しかも、多孔質構造のため変形が容易で、電極間に高低差があったり、基板の反りや厚みの差があったりした場合でも接合が可能である。
開発した接合技術は、半導体における配線の微細化や多種チップの集積(高密度化)を可能にする。LEDやLDといった光デバイスをはじめ、デジタルデバイスなど高密度実装が要求される用途向けに、サンプル品の提供を行っていく。
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