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中国の半導体設計力はどうなっている? 話題の製品を一斉に分解製品分解で探るアジアの新トレンド(51)(1/4 ページ)

毎年、製品解剖という観点では“閑散期”に当たる8月。やや落ち着いているタイミングの今、中国製品の分解から見えてきた、中国製半導体の進化を紹介したい。

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 新製品の分解を経て新チップの解析を中心にレポートを作成する弊社にとって年に2回ほど空白の時期が発生する。他業種と同じく2月と8月だ。多くのメーカーは最新スマートフォンを年末に向けてリリースする。弊社は特に新プロセッサおよびチップセットに着眼して解析を行っているので、いわゆるクリスマス商戦(毎年第4四半期)に向けてApple製品、QualcommやMediaTekの新プロセッサ搭載のスマートフォンが続々と発売されると、毎年年末は、解析ざんまいとなる。毎週のように新製品が発表/発売されるので、分解ではアルバイトを雇いたいくらいだ(募集はしておりません)。

 また年明けには「CES」(米国ネバダ州ラスベガスで開催)などで新製品が発表され、そこで発表されたものは数カ月から半年遅れで販売が開始される。しかし、通年2月8月はあまり新製品の発表がない。今秋にはAppleの新製品やAMDの新CPUアーキテクチャ「Zen 5」適用のプロセッサを搭載したCopilot+ PC、Intel「Luner Lake」(開発コード名)搭載のCopilot+ PCなどが続々と販売されるので、10月以降報告する予定だ。

 とはいえ、2024年夏にはGoogle「Pixel 9」(G5プロセッサ)やSamsung Electronicsの「Galaxy Watch 7」(EXYNOS W1000)などの大物製品も発売されているので、現在これらを解析中だ。やや隙間間のある8月なので、今回は主に2023年〜2024年の中国製品の分解から見える状況を報告したい。

中国半導体の搭載比率が高まっている

 弊社は日米欧の最新製品とともに中国製品も網羅的に解析を行っている。どちらが良い悪いという観点ではなく、実製品レベルからどちらもモノになっているという視点で解析している。2019年以降、深刻化し続けている米中対立によって、中国製品の中身は徐々に変化し、2024年時点では2019年に比べて中国製半導体の搭載比率が高くなったという特徴がある。

 半導体は、広義には5つのジャンルに分かれている。プロセッサやコントローラーなどロジック系デジタル半導体(これは微細化の対象)、メモリ(代表的なものはDRAMと不揮発メモリ)、アナログ、パワー、センサーである。これらを組み合わせることでシステムは完成する。今回報告する中国製品は、“おもちゃレベル”のものもあるし、産業分野や車載分野に使われるものもある。品質、信頼性、特性などを話し始めれば、キリがないので本報告では言及しないものとする(特性解析なども行う場合もあるが省略)。中国では上記5ジャンルともに半導体製品が提供され、5ジャンルともに採用が増えている。

 図1は、中国メーカーが販売するAndroidポータブルゲーム機である。内部の主要チップはほぼ中国半導体メーカー製となっている。メインのプロセッサはArm CPUを搭載する中国UNISOC製。システムコントローラーはRISC-V CPUを搭載する中国WCH製。プロセッサ系はArm、コントローラー系はRISC-Vという、現在中国で最も増えている構成になっている。

図1:廉価版 Androidゲーム機「RG Cube」
図1:廉価版 Androidゲーム機「RG Cube」[クリックで拡大] 出所:テカナリエレポート

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