中国の半導体設計力はどうなっている? 話題の製品を一斉に分解:製品分解で探るアジアの新トレンド(51)(2/4 ページ)
毎年、製品解剖という観点では“閑散期”に当たる8月。やや落ち着いているタイミングの今、中国製品の分解から見えてきた、中国製半導体の進化を紹介したい。
タブレットやポータブルプロジェクターを分解
図2は中国メーカー製のタブレットと、デジタルTVボックスの様子である。用途は異なるが、2つとも内部構成はほぼ同じだ。ともに中国Allwinner Technologyのプロセッサ、中国X-Powersの電源ICを骨格にシステムを構成する。メモリは韓国製も組み合わされるが、中国RAYSON、MMYがそれぞれに搭載される。またタッチパネルコトンローラーは中国Silead製が採用されている。TVボックスに採用されるWi-Fi/Bluetoothチップは中国AIC製(他製品でも採用事例は極めて多い)。デジタル、アナログ、メモリ、センサーなど多くが中国製になっている。
図3は左がFPGA開発ボード、右がTikTokなどで大きな話題となったポータブルプロジェクターである。FPGAはあらかじめRISC-V CPU機能が搭載されていて、中国GOWIN Semiconductor製だ。GOWINのFPGAはIntel やAMDらの大規模FPGAではなく小中規模のものだが、多くのユーザー(日本国内にも)を持つFPGAメーカーである。プロジェクターのプロセッサはAllwinner製。Allwinnerは日本メーカーZUIKIにもプロセッサを提供する日本でもおなじみのメーカーだ。GOWINと組み合わされる通信半導体メーカーBUFFALOチップ内のCPUはRISC-Vとなっている。
図4は中国メーカーの中でも別格の成功を収めているEspressif SystemsのSingle Board Computer(SBC)の様子である。中国からは膨大な種類のSingle Board Computerが発売されており、全部を網羅することはほぼ不可能だ。Espressifの通信機能付きコントローラー「ESP32-C6」が搭載されている。今回報告のほぼ全てのチップ内部は解析済だが省略する。ESP32-C6のCPUにはRISC-Vが採用されている。この数年、上記製品も含めて中国製品の多くはArm CPU製品とRISC-V CPU製品がほぼ同等規模で拡大している。Arm採用製品も依然として多くチップ種も増えているが、RISC-V製品はさらに目に見えて増えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.