「世界と未来をつなぐ」 TE Connectivity Japanが始動へ:24年10月1日から社名変更(2/2 ページ)
タイコ エレクトロニクス ジャパンが、2024年10月1日付で社名を「TE Connectivity Japan」に変更する。同社は9月20日に記者説明会を開催。社長の鶴山修司氏らが社名変更の背景や注力事業分野での取り組みについて説明した。
世界の技術を日本へ、日本の技術を世界へ
鶴山氏は、TE Connectivityの強みについて「幅広いビジネスユニットの製品がそろっているため、一部の市場が傾いた場合でも安定した事業運営が可能だ。また、世界の各地域では異なった市場/分野が成長する。当社では、それぞれの地域(市場)で培った技術を他の地域でも活用できることも大きなアドバンテージだと考えている」と語った。
会見では、オートモーティブ事業、インダストリアル ソリューションズ事業、データ&デバイス事業の取り組みも紹介された。
左から、TE Japan 日本/ASEAN地域 オートモーティブ事業部 営業&マーケティング本部 本部長の木村英史氏、インダストリアル ソリューションズ事業本部長 兼 インダストリアル事業部 セールス&マーケティング 本部長の酒井美奈氏、鶴山氏、コミュニケーションズ ソリューションズ事業本部長 兼 データ&デバイス事業部 アドバンスドテクノロジー シニアディレクターの白井浩史氏、TEジャパン HR統括部長の雨宮將起氏[クリックで拡大]
TE Connectivityのオートモーティブ事業部は、車載向けのコネクティビティおよびセンサー技術を手掛ける。世界26カ所に生産拠点、19カ所に研究開発拠点を持ち、約2500人のエンジニアが顧客に近い場所で設計/製造を行っている。
TE Japan 日本/ASEAN地域 オートモーティブ事業部 営業&マーケティング本部 本部長の木村英史氏は、オートモーティブ事業における同社の強みについて「長年の実績に基づく品質と信頼性、幅広い需要に対応する製品ポートフォリオだ。また、世界のほぼ全ての自動車メーカーとのコネクションを持っているため、得られる情報の幅も広い。TEジャパンでは、世界で培った技術を日本に提供するとともに、日本で培った技術も世界に提供している」と語った。また、EVについては「普及や二酸化炭素排出量の規制などの観点で、欧州や中国が先行していて、2030年までには多くの自動車がEVに置き換わるだろう。一部ではEV推進の方針を変更/修正する流れもあるが、現時点でビジネスに大きな影響は出ていない。また、長期的な視点でEV化の流れに変わりはないと考えている」と説明した。
インダストリアル事業部では、工場の自動化に向けたコネクターやセンサー、フィルター技術を提供している。
同事業部では、開発コンセプトの立案から量産製品の試験までを日本国内で完結できる設備を神奈川県川崎市に設置している。同設備では、顧客の要望を基に3Dプリンタで製品のプロトタイプを作成し、顧客と擦り合わせを行った上で量産デザインを決定し、試験/評価を行っている。同社 インダストリアル ソリューションズ事業本部長 兼 インダストリアル事業部 セールス&マーケティング 本部長の酒井美奈氏は、国内での新製品の開発件数について「具体数は開示していないが、毎月それなりの頻度で行っている。個別の顧客からの要求を基に一般化したものを製品化することが多いが、一部ではカスタマイズ品の開発も行っている」と説明した。なお、他の事業部でも同様の取り組みを行っているという。
データ・デバイス事業部は、データセンターインフラやネットワーキング、IoT(モノのインターネット)関連製品などを提供する事業部だ。グローバルの売上高は12億米ドルで、1350人のエンジニアが在籍している。昨今では、AI(人工知能)やクラウド、IoT関連の需要が増加している。
同社 コミュニケーションズ ソリューションズ事業本部長 兼 データ&デバイス事業部 アドバンスドテクノロジー シニアディレクターの白井浩史氏は、データ・デバイス事業部の特長について「EV関連では海外で培った技術を日本に取り入れることが多い。しかし、データ・デバイス事業部では、開発/提供する製品のほぼ100%が国内製で、海外にノウハウを提供する場合の方が圧倒的に多い」と述べた。
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