中国でパワー半導体の新工場稼働 着工からわずか21カ月で:SMCが生産能力を大幅拡大(2/2 ページ)
米国資本の半導体メーカーであるSMC Diode Solutions(SMC)は、中国 南京で2つ目のパワーディスクリート工場の稼働を開始した。総面積は2.8万平方メートルで、建設には30億人民元(約615億円)を投じた。高性能/高電圧整流器を製造する予定で、SMCの生産能力は大幅に増大していくとみられる。
再生可能エネルギー分野にも注力
今後、SMCは新工場で再生可能エネルギー分野の発展に注力し、グリーンエネルギーイニシアチブを支援する上で重要な役割を果たそうとしている。Corcoran氏は、「新工場では再生可能エネルギー/EV市場に不可欠な幅広い製品として、ソーラーパネルやソーラーインバーター、EV充電ステーション、EVバッテリー管理システムなどに向けた製品を製造していく予定だ」と述べている。
新工場では、太陽光発電のジャンクションボックス、インバーター、EVソリューションの用途に不可欠なパワー整流器とパワーMOSFETの製造に重点的に取り組む計画だという。「この市場は急速に成長している。生産能力の増強によって、われわれはより大きな影響力を発揮できるようになるだろう」(Corcoran氏)
30億人民元の投資と300人の新規雇用創出は、南京の地域経済とコミュニティーにも大きな影響をもたらすことになる。Corcoran氏はこの立地の戦略的重要性について、「南京は私の故郷であり、トップクラスの工学系大学を擁する優秀な人材の宝庫だ。SMCは地元の2つの大学と提携し、若いエンジニアの採用と研修を行い、地元の人材開発を促進している」とし、「SMCは社員とその家族をサポートし、個人の成長とキャリアアップの機会を提供することに尽力している」と語った。
SMCは地域社会と環境への貢献も重視しているという。Corcoran氏は、サステナビリティに対する同社の取り組みを強調し、「SMCは製造工程における廃棄物とエネルギー消費を最小限に抑えるため、厳格な環境基準を維持している。サステナビリティを高めるという価値観を事業に取り入れることで、SMCは地域社会と世界的なグリーンエネルギー運動の両方への貢献することを目指し、自社が成長することでより広範な環境目標に沿えるようにしている」と語った。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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