STとQualcommが無線IoTで戦略的提携、エッジAI普及に向け:25年1Qに第1弾製品
STMicroelectronicsとQualcommの子会社Qualcomm Technologies Internationalが無線IoT分野で戦略的提携をすると発表した。STのマイコンエコシステムとQualcomm TechnologiesのAI(人工知能)を駆使した無線接続技術を統合する。
STMicroelectronics(以下、ST)とQualcommは2024年10月1日(スイス時間)、STとQualcommの子会社Qualcomm Technologies Internationalが無線IoT(モノのインターネット)分野で戦略的提携をすると発表した。STのマイコンエコシステムとQualcomm TechnologiesのAI(人工知能)を駆使した無線接続技術を統合。「エッジAIを活用した次世代の産業および民生IoTアプリケーションをシンプル、迅速かつ高コスト効率で設計可能にする」としている。
両社は今回の提携は補完性の高いものだと説明。Wi-Fi/Bluetooth/ThreadコンボSoC(System on Chip)をはじめとする、Qualcomm TechnologiesのAIを駆使した無線接続技術を、STのマイコン「STM32」エコシステムと統合する。両社は「この提携によって、開発者は、ソフトウェアツールキットを含むSTM32汎用マイコンへのシームレスなコネクティビティソフトウェア統合を享受でき、STのグローバルな販売および代理店チャンネルを通じた迅速かつ広範な採用が可能となる」としている。
STは、あらゆるSTM32汎用マイコンとシステムレベルで統合できる、Qualcomm TechnologiesのWi-Fi/Bluetooth/ThreadコンボSoCポートフォリオを用いた一体型モジュールの投入を計画。「無線接続が最適化され、STの確立されたソフトウェアプラットフォームを通じてSTの開発者エコシステムに提供されることで、開発時間と市場投入までの時間が短縮できる」としている。
この協業による最初の製品は、2025年第1四半期にOEMメーカー向けに提供され、その後より広範に提供される予定だ。STは「これは、Wi-Fi/Bluetooth/ThreadコンボSoC製品のロードマップを長期的に構想する協業の第一歩であり、産業用IoTアプリケーション向けのセルラー接続にも拡大する予定だ」としている。
STのマイコンおよびデジタルIC、RF製品グループのプレジデントを務めるRemi El-Ouazzane氏は、「無線接続は、エンタープライズ、産業およびパーソナルアプリケーションでますます多様化するユースケースにおいて、エッジAIを急速に普及させる鍵となる。今回の戦略的提携はWi-Fi/Bluetooth/ThreadコンボSoCに始まる。既に次のステップも検討していて、当社のBluetooth Low Energy、Zigbee、Thread、サブGHz帯対応の既存マルチプロトコル製品ポートフォリオを補完する。Qualcomm Technologiesの技術に基づく無線接続デバイスは、あらゆるSTM32デバイスを強化し、世界で10万人を超えるSTM32の顧客に大きな価値をもたらすだろう」とコメントしている。
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