伝送速度50Gbps、車載光通信方式の実証実験に成功:完全自動運転向け光ネットワーク(1/2 ページ)
慶應義塾大学は、東京大学、大阪大学および、古河電気工業らを含む4機関と共同で、完全自動運転を支える高速車載光通信方式のコンセプト実証実験を行い、伝送速度が50Gビット/秒(Gbps)の高速通信に成功した。
光ファイバーと電源線の一括配線で伝送容量100Gbps以上に拡張可能
慶應義塾大学理工学部電気情報工学科の津田裕之教授と久保亮吾教授は2024年9月、東京大学、大阪大学および、古河電気工業らを含む4機関と共同で、完全自動運転を支える高速車載光通信方式のコンセプト実証実験を行い、伝送速度が50Gビット/秒(bps)の高速通信に成功したと発表した。
研究グループは、完全自動運転を実現するため、その技術基盤となる高信頼の車載光ネットワーク「SiPhON」を提案してきた。車両に搭載された「セントラルECU」のマスター装置だけに半導体レーザーを、「ゾーンECU」のゲートウェイ装置には、シリコンフォトニクス集積技術による変調器/受信器を、それぞれ搭載した。この間を石英シングルモード光ファイバーで接続したのがSiPhONである。
SiPhONは、伝送容量が50Gbps以上のデータ伝送用ネットワーク「D-plane」と、制御信号伝送用ネットワーク「C-plane」からなる物理層を備えている。伝送路と光源の二重化による冗長性を有し、シリコンフォトニクス技術を利用することで、低コストと高信頼性を両立させた。具体的には、マスター装置から送信された光が、各ゲートウェイ装置で透過、受信、あるいは変調して出力され、再びマスター装置に戻り受信される仕組み。
電気回路部には、誤り訂正を行う機能やリンク確立などに向けた制御信号やプロトコル、上位レイヤーとのインタフェース機能が実装されている。セントラルECUとゾーンECU間の伝送容量は変更でき、柔軟なトラフィック制御が可能。
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