3225サイズで定格1250V、C0G特性MLCCをTDKが開発:「業界最大」静電容量を実現(2/2 ページ)
TDKが、車載用途などで高まるコンデンサーの高耐圧化および高静電容量化への需要に応える、新たなMLCCを開発した。「C0G特性」の3225サイズ品で定格電圧1250Vと、「業界最大」(同社)の高静電容量10nFを両立。車載と一般用の両グレードを用意し、2024年12月に量産を開始する予定だ。
EVの非接触給電および共振回路で求められる特性
今回の1250V品によって、例えば要求耐電圧が5000Vの高電圧回路で使用する場合、従来の1000V品では5個を直列接続する必要があったのが、4個で対応可能となるなど必要数量および実装面積を削減できる。さらに、従来品比で通電時の発熱量の低減も実現しているという。
また、前述のようにEVなど向けの非接触給電および共振回路に適するC0G特性品であり、今回の高耐圧化、高静電容量化などの性能向上により拡大する需要に対応可能としている。
なお、共振用途のコンデンサーでは、高い耐電圧や静電容量および、静電容量温度特性、電圧特性を有することからフィルムコンデンサーも利用されるが、静電容量が同等になるように複数のMLCCを用いた場合であっても実装面積を大きく削減できる他、発熱を低減できるとしている。
新製品は車載グレードの「CGAシリーズ」および一般用「Cシリーズ」の両方で静電容量別に1n〜10nFまで13品番をラインアップ(それぞれ静電容量許容差が±2または±5の2種類を用意)する。生産は日本で行い、当初は月産100万個を予定している。また、C0G特性の1250V品におけるさらなる高静電容量品の要求に向け、現在5750サイズ品を開発中だという。
TDKは2024年10月15〜18日に開催される「CEATEC 2024」(幕張メッセ)に出展し、同製品を展示する予定だ。
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