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二次元層状磁石、圧力印加で磁気特性が飛躍的に向上スピンメモリや発電デバイスに応用

九州大学は、二次元層状磁石に圧力を加えることで、垂直磁気異方性が飛躍的に向上することを実証した。スピンメモリや発電デバイスなどへの応用が期待される。

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より大きな圧力を加えれば、垂直磁気異方性はさらに増加

 九州大学大学院理学府博士課程3年の飯森陸氏と理学研究院の木村崇教授らによる研究グループは2024年10月、二次元層状磁石に圧力を加えることで、垂直磁気異方性が飛躍的に向上することを実証したと発表した。スピンメモリや発電デバイスなどへの応用が期待される。

 二次元層状物質は、高い伝導性や柔軟性、透明性などの特性を有する。近年は強磁性を示す二次元層状物質も発見されている。中でも注目されているのが、室温で垂直磁気異方性を有する二次元層状強磁性体「Fe3GaTe2」である。ただ、室温で磁場を加えない状態だと、磁気の向きを垂直に保てないという課題があった。

 研究グループは今回、絶縁基板上に転写したFe3GaTe3薄膜に微細な電極を取り付け、ホール効果を測定するための素子を作製して、微細な圧力セル内に設置した。その上で加圧し、Fe3GaTe3薄膜の垂直磁気異方性の大きさがどのように変化するかを評価した。

 この結果、Fe3GaTe2薄膜に約0.2GPaの圧力を加えると、室温で磁場を印加しない状態でも、磁化の方向が垂直に保たれることが分かった。しかも、より大きな圧力を加えれば、垂直磁気異方性はさらに大きくなることを確認した。一方、圧力を加えてもキュリー点はほとんど変化しなかった。

 今回の研究により、強磁性の特性は「二次元面内の共有結合によって」、垂直磁気異方性は「層間のファンデルワールス結合によって」、それぞれ支配されていることが判明した。

左上はホール効果測定デバイスの電子顕微鏡像および、Fe3GaTe2薄膜の断面透過電子顕微鏡像とX線回折パターン。左下は圧力セル内に設置したFe3GaTe2薄膜ホール効果デバイスの概念図。右はホール抵抗曲線の圧力依存性
左上はホール効果測定デバイスの電子顕微鏡像および、Fe3GaTe2薄膜の断面透過電子顕微鏡像とX線回折パターン。左下は圧力セル内に設置したFe3GaTe2薄膜ホール効果デバイスの概念図。右はホール抵抗曲線の圧力依存性[クリックで拡大] 出所:九州大学

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