半導体業界ゆく年くる年 24年10大ニュース&25年10大予測:大山聡の業界スコープ(83)(3/4 ページ)
今回は、半導体業界の2024年を振り返り、2025年を予測してみたい。
AIブームの年か 2025年10大予測
2025年の半導体市場は、上述のような2024年の流れを受け継ぎ、AIブームの加速が予想される。「NVIDIAの独走を許すまい」あるいは「NVIDIAに便乗して流れに乗りたい」などAIへの強い期待とともに展開する可能性が高い。2025年の10大予測は、このような背景を意識しながら選出してみた。
第1位:AIブームの加速
NVIDIAの牙城は当面は崩れることなく、AIプロセッサの王者として注目され続けるだろう。しかしその座を追い落とそうとする企業、あるいはデータセンターを諦めてPC、スマホなど端末側のAI機能実現に注力する企業などさまざまな企業がAIブームに乗じて活動することが予想される。Intel、AMD、Qualcommなどの大手だけでなく、数々のベンチャー企業がAIプロセッサを市場に投入するだろう。AIブームは、加速する可能性が極めて高い。
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第2位:5Gの動向
AIブームに押されて5G(第5世代移動通信)はすっかり鳴りを潜めてしまったようにみえる。自動運転の実現には不可欠な技術だが、これが普及するのはもう少し先の話だろう。ただし、自動運転には5GもAIも必要で、どちらか一方という選択肢ではない。むしろ、AIの進化に合わせて5Gとの融合がもっと実現されるべきだと筆者は考えている。あえて2番目に持ってきたのは、その期待も含んでいる。
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第3位:メモリ市況の動向
メモリ市況は2017年にピーク、2019年にボトム、2021年にピーク、2023年にボトム、というサイクルを繰り返している。今までのサイクルパターンからみれば、2025年中盤にメモリ市況はピークを迎える可能性がある。DRAM市場はHBM需要がこれから盛り上がるとみられているので「ピークはもっと先になるのでは」という見方もあるだろう。そのタイミングを見極めるためにも、2025年のメモリ市況は要注意である。
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第4位:半導体市況全体の変化
2024年はメモリ市況が好調だったが、車載半導体やパワー半導体は不況に終わった。しかしこれらのデバイス市場も2024年半ばにボトム期を迎え、いずれも回復基調に入っている。2025年はいずれもプラス成長が予想されるが、プラス成長に転じるタイミングにはバラツキがあるだろう。多くの日系デバイスメーカーが2024年の不況に苦しみ、これら車載半導体やパワー半導体の市況を気にしている。
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第5位:ファウンドリー業界の動向
TSMCの独走が続いているが、Intelのファウンドリー事業分社、Samsungの最先端への注力、Rapidusの試作準備など、2025年は水面下でいろいろな動きがある。TSMCのシェアに大きな変化があるとは思わないが、AIプロセッサに最先端プロセスが不可欠である以上、委託先がTSMCだけ、という状況は業界的にも好ましくない。水面下の動向に注意を払う必要があるだろう。
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