暫定CEOが示唆した「Intelの今後」:課題はデータセンター用製品(3/3 ページ)
2024年12月1日(米国時間)に突如として前CEO(最高経営責任者)のPat Gelsinger氏が退任したIntel。暫定共同CEOを務めるMJ Holthaus氏は同年12月11日に開催されたカンファレンスで、今後のIntelの事業計画についていくつかの手掛かりを示した。
取締役会の新メンバーを任命
Intelの取締役会は、Gelsinger氏の辞任と、メンバー自身の半導体業界での経験不足に対する広範な批判に直面し、2人の新メンバーを任命した。ファウンドリー分野から、2004年から2013年までASMLのプレジデント兼CEOを務めたEric Meurice氏を、さらに、製品分野からSteve Sanghi氏を任命した。Sanghi氏は1991年から2021年までMicrochip TechnologyのCEOを務め、1カ月前に暫定的に復帰した。同氏は、キャリアの初期にIntelで10年過ごしている。
2006年に出版されたSanghi氏の経営書『Driving Excellence』には、1990年当時「大損失を出し、技術が時代遅れで、工場が非効率で、従業員の士気が低かった」Microchip Technologyで、同氏が実施した戦略が詳述されている。恐らく、今日のIntelと似たような状況だっただろう。
誰もが、「Intelの製品事業をファウンドリーから分離するという取締役会の主張がGelsinger氏の任期の終わりを告げたのか」という疑問を口にしているが、提案された分離に関して新取締役会メンバーがどのような立場を取っているかは不明だ。
Holthaus氏と同氏の共同CEOでIntelのCFO(最高財務責任者)を務めるDavid Zinsner氏はBarclays Conferenceで、「Intelの製品事業は既に相互に独立して運営されている」とを述べている。
Holthaus氏は、「市場での両事業の長期的な差別化要因となるのは、当社が最初にアクセスできる優れたプロセス技術を搭載する優れた製品だ。現実的に考えて、両事業を完全に分離して、結び付きを断つことは理にかなっているだろうか。私には分からないが、誰かがそれを決めることになるだろう」と述べている。
Zinsner氏は、IntelがIntel Foundryの子会社を設立し、同社には別の運営委員会があることに触れ、「完全に分離するかどうかに関しては、また別の機会に検討すべき問題だと考えている」と語った。「それまでは、さらに人員削減することはない。大規模な人員削減はほぼ完了した。しかし、どこに資金を投じているかを常に精査し、適切なリターンを確実に得られるようにしていく」(同氏)
Zinsner氏は、「Intelの運営方法には、多くの複雑さを引き起こした部分もある。事業や注力分野を簡素化する方法はあると考えている。2024年12月9日の取締役会では、確かに、事業の集中を求める意見が多かった」と付け加えた。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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