2025年、Alteraを手に入れるのは誰だ:唯一の問題は買収価格
最近、IntelがAltera売却を実行に移すことを決意しているようだが、価格の高さが唯一の問題になっているという。2025年、Alteraを手にするのはどの企業だろうか。
IntelによるAltera売却方針に関するニュースはもはや目新しいものではないが、Lattice Semiconductor(以下、Lattice)といったFPGA業界のプレーヤー、あるいはFrancisco Partners、Silver Lake Technology Management、そしてBain Capitalなどのプライベートエクイティ企業への売却に関する、新たなうわさが流れている。AlteraがIntel傘下から離れ、独立した企業となる準備は整っているが、唯一の問題になっているのがその価格だ。
2015年に買収、狙い明確にならぬまま売却へ
Latticeの時価総額は約80億米ドルだ。同社がAlteraを買収するには、必然的に資金パートナーが必要になる。また、プライベートエクイティ企業による提案は、Alteraを90億〜120億米ドルと評価していて、IntelがAltera買収時に支払った170億米ドルをはるかに下回っている。
かつてXilinxとともにFPGAの二強時代を築いたAlteraは、2015年、当時キャッシュリッチだったIntelに買収された。この買収に関して、半導体業界ではCPUの王者がなぜFPGAプレーヤーを獲得するのかについてさまざまな議論が巻き起こった。そして2020年、IntelのライバルであるAMDも、Xilinxを買収した。
しかし、CPUメーカーがFPGA事業を買収する最終的な目的と、それがサーバやデータセンターのロードマップとどのように関連する可能性があるのかについて、業界観測筋が考えを巡らしている間に、Intelではトラブルが勃発し始めた。そして、Intelが資本不足に対処するため、Alteraの分離独立を検討していることが明らかになった。この決定を下したのは、当時のCEO(最高経営責任者)、Pat Gelsinger氏だった。
価格の高さがネック、部分的な売却も視野?
Bloombergの最近の報道によると、Intelは次段階の入札のため、複数のバイアウト企業をリストアップし、入札者が正式にオファーを出す期限を2025年1月末に設定したという。IntelはAlteraのスピンオフ実行を決意しているようだが、価格の高さがネックとなっている。
Intelの暫定共同CEOであるDavid Zinsner氏は、同社が財務的に実行可能なオファーを得られなかった場合の対策について示唆している。同氏は、極端紫外線リソグラフィ(EUV)の開発に必要なマルチビームマスク描画ツールを手掛けるIMS Nanofabrication(以下、IMS)の株式のような取引の可能性に言及した。Intelは2023年6月、所有するIMSの株式の20%をBain Capitalに売却、さらにその3カ月後、IntelはIMSの株式の10%をTSMCに追加売却すると発表した。なお、IMSの評価額は約43億米ドルだとしていた。
どちらに転ぶかは2025年になってみなければ分からないが、Intelが買収に関して褒められた歴史を持っていないことは覚えておく価値がある。
1983年に設立されたAlteraは重要な企業だ。そのため、AMDとXilinxの組み合わせが好調な今、2025年に“Altera 2.0”の未来がどのように形作られるかを見守ることは極めて重要だ。成功すれば、Intelは必要な資金を得られ、AlteraはFPGA設計領域で積極的に革新するための独立性を高めることができる。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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