24年の世界半導体市場は18％増、NVIDIAは売上高3位：首位はSamsung、Intelは2位に

[永山準，EE Times Japan]

　米国の市場調査会社Gartnerは2025年2月3日（米国時間）、2024年の世界半導体売上高（速報値）が前年比18.1％増の6260億米ドルになったと発表した。ベンダー別で見ると、Samsung Electronics（以下、Samsung）がIntelから首位を奪還。NVIDIAは前年から順位を2つ上げ3位にランクインした。

トップ10のうち9社が増収、Samsungは62.5％増で首位奪還

　Gartnerによると2024年、世界半導体売上高ランキングにおける上位25社のうち、11社が2桁成長を達成。マイナス成長となったのは8社のみだという。GartnerのVP（バイスプレジデント）アナリストであるGeorge Brocklehurst氏は「データセンターアプリケーション（サーバとアクセラレーターカード）で使用されるGPUとAIプロセッサが2024年のチップ分野における主要なけん引役となった」と説明。AIおよび生成AIワークロードの需要の高まりによってデータセンター向け半導体売上高は2023年の648億米ドルから、2024年には1120億米ドルにまで急拡大。半導体市場においてスマートフォン向けに次ぐ規模になったという。

　2024年の世界半導体売上高トップ10を見ると、Infineon Technologiesを除く9社が増収となっている。Samsung Electronicsはメモリ価格の力強い回復を追い風に売上高は前年比62.5％増の665億5240万米ドルと急成長を見せ、Intelから首位を奪還した。一方のIntelは同0.1％増とほぼ横ばいの491億8900万米ドルで2位に下落。Gartnerは「AI PCと『Core Ultra』チップセットという製品群が、AIアクセラレーターの限定的な成功とx86事業の緩やかな成長を相殺するのに不十分だった」と説明している。AIブームの主役となっているNVIDIAは引き続き好調で、売上高は前年比83.6％増の459億8800万米ドルとなり、前年から順位を2つ挙げて3位にランクインした。

メモリ好調でSk hynix、Micronも大きく伸びる

　前年まで続いたメモリ不況から一転し、2024年のメモリ市場は好調だった。AIブームの追い風を受けた広帯域メモリ（HBM）の拡大などもあり同市場は前年比71.8％増という伸びを見せ、半導体市場全体に占める割合は25.2％となったという。

　NAND型フラッシュメモリは前年比75.7％、DRAMは同75.4％増とそれぞれ大きく回復。特にHBMはDRAM市場の13.6％を占める規模となっていて、DRAMメーカーの収益に大きく貢献した。これによって、SK hynixの売上高は前年比86.0％増の428億2400万米ドルとなり、前年から順位を2つ上げ4位にランクイン。Micron Technology（以下、Micron）も同72.7％増の278億4300万米ドルとなり、前年の12位から一挙に6つ順位を上げ、6位の座を獲得した。なお、Micronは2022年には5位だったのが2023年にはトップ10外の12位にまで下がり、今回また6位にまで戻ってきた形で、この3年で特に激しい順位変動を見せている。

世界半導体メーカー別売り上げランキング トップ10【速報値】（単位：百万米ドル）

2024年 順位	2023年 順位	企業名	2024年 売上高	2024年 市場シェア	2023年 売上高	成長率 （2023年比）
1	2	Samsung Electronics	66,524	10.6％	40,942	62.5％
2	1	Intel	49,189	7.9％	49,117	0.1％
3	5	NVIDIA	45,988	7.3％	25,053	83.6％
4	6	SK hynix	42,824	6.8％	23,027	86.0％
5	3	Qualcomm	32,358	5.2％	29,225	10.7％
6	12	Micron Technology	27,843	4.4％	16,123	72.7％
7	4	Broadcom	27,641	4.4％	25,613	7.9％
8	7	AMD	23,948	3.8％	22,307	7.4％
9	8	Apple	18,880	3.0％	18,052	4.6％
10	9	Infineon Technologies	16,001	2.6％	17,022	▼6.0％
―	―	その他	274,775	43.9％	263,483	4.3％
合計			625,971	100％	529,964	18.1％
出所：Gartner（2025年2月）

　2025年の半導体市場もメモリやAI半導体が短期的な成長をけん引、前年比12.6％増の7050億米ドルになると予想している。Brocklehurst氏は「メモリやAI半導体が短期的な成長をけん引する。HBMがDRAMの売上高に占める割合も増加し19.2％に達するだろう。HBMの売上高は2025年に同66.3％増加し、198億米ドルに達すると予測される」と説明している。