見える、見えるぞ「日本酒の味わい」が! TDKがレーダーチャート化:香りや発泡感が一目で分かる(2/2 ページ)
TDKは、日本酒の味や香り、ガス感を視覚化するシステム「Sake Sensing System」を発表した。味わいを特徴づける成分を解析し、その結果をレーダーチャートで表示するものだ。
レーダーチャートには80%が「納得」
成分測定は、液体クロマトグラフィーやイオンクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーを用いて、有機酸やアミノ酸、糖分、香気、ガス感を解析する。
TDK 技術・知財本部 日本酒プロジェクト プロジェクトリーダーの兼森庸充氏は、Sake Sensing Systemについて「極めて高精度だ」と自信を見せる。開発にあたっては、社外と連携して日本酒の知見を得たという。まず、日本で唯一アルコールを研究する国の研究機関である酒類総合研究所から成分と味わいの関係性についてアドバイスを受け、アルゴリズムの設計に生かした。その上でアルゴリズムによる出力結果と実際の味わいが一致するか、同研究所のテイスターが確認したという。
さらに、秋田県由利本荘市の酒蔵である天寿酒造と連携し、これまで7回にわたってコラボレーション製品を市場投入している。消費者に対するアンケートでは、TDKが出力したレーダーチャートに対して80%以上の回答者が納得感を示したという。
新酒のコンセプト設計からサポート
Sake Sensing Systemは、酒蔵向けのサービスとして始動する。料金は未定。酒蔵はTDKに検体を提供してレーダーチャートを受け取り、製品ラベルやWebサイトで利用できる。加えてTDKは、新酒のコンセプト設計段階からのサポートも行う考えだ。
TDKは、同システムを用いれば多種多様な日本酒の味わいの個性が一目で分かるようになるため、酒蔵と消費者とのコミュニケーションが効率的/効果的になるとしている。酒蔵が伝えたいストーリーやこだわりを味わいと関連付けて表現することも可能だ。さらには、味わいを定量的に確認できることから、酒質の管理にも活用できるとする。
兼森氏は「Sake Sensing Systemで消費者の購入のきっかけを作りたい。酒蔵のキャッシュフローが増えればさらにおいしい日本酒が開発され、グローバルで日本酒市場が活性化する」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
4K映像をスマートグラスで! 従来比10倍高速なレーザー制御デバイス
TDKは、LiNbO3(ニオブ酸リチウム)薄膜を用いたスマートグラス用可視光フルカラーレーザー制御デバイス「Active-PIC by LN(Active Photo Integrated Circuit by LiNbO3)」を発表した。従来比で10倍高速にレーザーを制御できるため、4K(2160p)の高解像度映像にも対応できるという。舌が味を感じる仕組み
前回に続き、「味覚」の概要を取り上げる。舌の表面構造と味蕾の構造、味蕾が味を感じる仕組みを解説する。味覚の定量的なセンシングとその巨大な意義
「味覚」の概要を取り上げるシリーズの続き。本稿では、味覚を定量的に検出する「味覚センサー」とその意義について解説する。食べずに分かる! 写真1枚でAIが野菜のおいしさを判定
マクタアメニティは「CEATEC 2023」にて、スマートフォンなどで撮影した画像から野菜などの「おいしさ」を解析する技術を展示した。同技術は「CEATEC AWARD 2023」のアドバンストテクノロジー部門で準グランプリを受賞している。“なんとなく”じゃない! ビールのコクが分かるクリスタル
日本電波工業は、「CEATEC JAPAN 2013」(2013年10月1日〜5日、幕張メッセ)で、サッポロビールと共同で開発している、ビールの味を定量的に評価する味覚センサーシステムを公開した。ピコグラムレベルの微少な重さが計測できる水晶の性質を利用し、ビールに含まれる「コク」につながる味成分の量を測定し、「コク」を数値化する。将来的には、ビールの「キレ」も測定できる見込みの他、さまざまな飲料の味成分を数値化できる可能性があるという。“世界初”超音波AIで冷凍マグロの鮮度評価に成功
富士通と東海大学との共同研究グループは2022年12月21日、超音波AI(人工知能)技術を活用し非破壊で冷凍マグロの鮮度評価に成功したと発表した。