放電を防ぐ絶縁タブが不要に、Nordic初の一次電池用PMIC:超高効率昇圧レギュレーター搭載(2/2 ページ)
Nordic Semiconductorはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2025」に出展し、同社初となる一次電池用PMIC「nPM2100」のデモを公開した。
5%ポイント刻みも!高精度で残量を計測
nPM2100は、一次電池向けのPMICでは一般的でない、アルゴリズムベースの精密なエネルギー残量計測を実現する点も大きな特長だ。一般的な一次電池アプリケーションにおけるエネルギー残量の推定方法は、電池の電圧を測定し、放電曲線に基づくルックアップテーブルを使用して推定するが、これは正確性に欠けるため、ユーザーが電池を完全に使い切る前に交換したり、電池切れが突然発生したりする場合がある。一方、nPM2100はホストMCUまたはSoCで実行される電圧および温度ベースのエネルギー計測機能によって、はるかに高い精度で測定が実現できるという。
説明担当者は「非充電式のマウスを使っていて『電池を交換してください』とPCにメッセージが表示されても、それを無視するとまだ数週間動作できることもあるように、一般品では正確な補足は困難だ。一方、nPM2100を用いれば高精度でそれが実行できる。例えば単3電池では5%刻みで残量ゲージの状態表示を推奨している」と説明していた。なお精度は電池およびその化学的性質によって多少差があるといい、「例えばコイン形リチウム電池ではこの精度は少し難しいかもしれないが、それでも従来比ではかなり正確な残量計測が可能だ」としていた。
会場ではnPM2100の評価キットを用いた電池の残量計測のデモを行っていた。デモでは、評価キットに取り付けた単3電池の残量が12.9%と表示された他、電池の電圧やシステム温度も自動で読み取り表示している様子が分かった。なお、同社の開発ソフトウェア「nRF Connect for Desktop」にあるアプリケーション「nPM PowerUP」を用いると、nPM2100の設定を直感的なGUIで簡単に設定でき、MCUのアプリケーション用コードを出力できる。
nPM2100は1.9×1.9mmのWLCSPパッケージまたは4×4mmのQFN16パッケージで提供する。2025年上半期内には量産を開始する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Infineonが車載初のRISC-Vマイコンを展開へ
Infineon Technologiesが、今後数年以内にRISC-Vベースの新しい車載マイコンファミリーをローンチすると発表した。同社の展開する車載マイコン「AURIX」シリーズに加わる。「Matter」の最新ソリューションを展示、Nordic
Nordic Semiconductor(ノルディック・セミコンダクター)は、2024年10月15〜18日に開催される「CEATEC 2024」(幕張メッセ)に出展し、「Matter」関連の最新ソリューションのデモを展示する。Arm/RISC-Vコア搭載BLE SoC 24年9月に量産開始
Nordic Semiconductorは、「ワイヤレスジャパン 2024」(2024年5月29〜31日/東京ビッグサイト)に出展し、Bluetooth 5.4やLE Audio、Bluetooth Mesh、Thread、Matterなどの通信規格に対応した最新のマルチプロトコルSoC(System on Chip)を展示した。非セルラー5GやWi-Fi測位も対応 セルラーIoTプロトタイピングキットを先行公開
Nordic Semiconductorはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2024」で、最新のセルラーIoT(モノのインターネット)プロトタイピングプラットフォーム「Nordic Thingy:91 X(以下、Thingy:91 X」を先行公開した。LTE-M/NB-IoTやGPSのほか、非セルラーの5G無線標準「DECT NR+」やWi-Fi位置情報にも対応する製品だ。2024年中の展開を予定しているという。Nordic、米AI新興のハードウェアIPを買収へ
Nordic Semiconductor(以下、Nordic)は、米国のAI新興AtlazoのIPポートフォリオを買収する予定だ。Nordicは米国EE Timesの取材に対し、「当社のポートフォリオ全体のデバイスに、ハードウェアAIアクセラレーションIPを追加する計画だ」と述べている。