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高強度テラヘルツ波を連続発生させる装置を開発、福井大とNICTTHz波の安全性を実験で検証可能に

福井大学遠赤外領域開発センターと情報通信研究機構(NICT)が、高強度テラヘルツ波(0.6THz)を連続的に発生させることが可能な装置を開発した。テラヘルツ波を安心安全に利用するための実験的研究が可能となる。

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高速大容量無線通信やセキュリティ検査でのTHz波導入を加速

 福井大学遠赤外領域開発センターと情報通信研究機構(NICT)は2025年3月、高強度テラヘルツ波(0.6THz)を連続的に発生させることが可能な装置を開発したと発表した。テラヘルツ波を安心安全に利用するための実験的研究が可能となる。

 周波数範囲が0.1T〜10THzの電磁波は「テラヘルツ波」と呼ばれ、電波のような透過性と、レーザー光線のような高い直進性を兼ね備えている。このため、次世代の高速大容量無線通信やセキュリティ検査などへの応用が検討されている。ところが、これまでは高強度のテラヘルツ波を連続的に発生させる装置がなく、人体に与える影響などを実験的に確認する方法がなかったという。

 研究グループは今回、核融合実験施設などで高強度電波発生装置として利用されている「ジャイロトロン」をベースに、0.6THzで高強度の電波を連続的に発生できる新たなジャイロトロンを開発し、実際に動作することも確認した。実験では、中心部で強度が高い円形のテラヘルツ波を観測した。しかも、医学や生物実験で求められる強度レベルで、一定かつ連続的に10分以上も照射できることを確認した。

 なお、新たに開発したジャイロトロンの構造設計や製造は、キヤノン電子管デバイスが担当した。


開発したジャイロトロンの外観と同装置が発生したテラヘルツ波の観測データ[クリックで拡大] 出所:NICT

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