新たな手法で半導体と金属界面の接触抵抗を測定:利用環境に最適な金属材料を選択
京都工芸繊維大学らの研究グループは、大阪大学産業科学研究所やトリノ工科大学らと協力し、半導体と金属など異なる材料間の界面における接触抵抗を直接比較できる、新たな「界面物性評価手法」を開発した。
半導体/金属界面の接触抵抗値はデバイスの動作温度条件で変化
京都工芸繊維大学の菅原徹教授(大阪大学産業科学研究所招へい教授を兼務)らによる研究グループは2025年3月、大阪大学産業科学研究所やトリノ工科大学らと協力し、半導体と金属など異なる材料間の界面における接触抵抗を直接比較できる、新たな「界面物性評価手法」を開発したと発表した。この手法を用いると、半導体デバイスの利用条件に適した界面材料を選択することができる。
半導体デバイスは、半導体や金属導体、絶縁体など異なる材料を積層した構造となっている。このため微細化や高集積化が進むと、半導体と金属材料との界面で接触電気抵抗による発熱が生じ、変換効率や信頼性が低下するという課題があった。
こうした中、従来は伝送長法(TLM:Transfer Length Method)と呼ばれる手法で半導体/金属界面の接触抵抗を測定していた。ところがこの手法は、半導体材料の厚みを考慮しておらず、被測定デバイスの設計条件などによって測定値が左右されるという課題があった。
研究グループは今回、被測定デバイスの設計条件などに依存しない新たな接触抵抗評価手法「Advanced TLM」を開発した。この手法を用いると、温度や使用環境によって生じる接触抵抗値の差異を精密に測定できるという。
実験では、厚みが異なる化合物半導体(Bi2Te3系)と拡散バリア金属(チタン、クロム、ニッケル)を接合した189種類のサンプル品を作製した。これらの試料を用い、常温(25℃)から高温(105℃)までの範囲で調節しながら、接触抵抗の温度依存性や熱的信頼性を評価した。
この結果、拡散バリア金属の種類に関係なく、温度上昇によって半導体/金属界面の接触抵抗値は増大した。また、ニッケル(Ni)は温度上昇に対する接触抵抗の増加率が、チタン(Ti)に比べ小さいことが分かった。このことは、半導体デバイスを高温で使用する場合、拡散バリア金属にはTiよりNiが適していることを示すものだという。
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