AIのデータ転送問題解決に王手、シリコンフォトニクス新興企業:チップ全面でI/O転送が可能に(2/2 ページ)
シリコンフォトニクスを手掛けるLightmatterが、新しい光インターコネクト技術を発表した。単一パッケージで最大256TbpsのI/Oを実現できるという。
「フォトニックスーパーチップ」向けのプラットフォーム
Lightmatterは、同社が「フォトニックスーパーチップ」と呼ぶチップ向けの、レファレンスプラットフォーム「Passage M1000」も発表した。LightmatterのPassageアクティブ光インターポーザー技術をベースとし、プログラマブル導波路ネットワークでソリッドステート光スイッチングを使用する。合計114Tbpsの光帯域幅を実現するとともに、1パッケージ当たり最大1.5kWの電力供給も可能だという。
Harris氏は「(他のCPO技術で)これを行おうとすると、全ての光学モジュールを外部に配置する必要があるため、パッケージは巨大になってしまう。Passage M1000は、これだけの帯域幅を実現するために構築できる最小サイズのパッケージで、理論的な限界である」と述べている。
同氏は「パッケージ付近またはパッケージ上の光学部品の物理的なサイズによっては、熱放散の問題が発生する可能性がある」と付け加えた。
Passageには256本の光ファイバーをエッジ接続でき、1本当たりの帯域幅は448Gbpsである。Lightmatterは、単一パッケージに最大4000mm2のシリコンを搭載する設計を可能にすることで、最大のマルチレチクルASICの実現を目指している。1つのスケールアップドメインは、最大2000XPUまで拡張可能だという。
L200およびL200Xと同様に、大規模マルチダイシステムにおけるI/Oのビーチフロントへの依存をなくし、1つのスケールアップドメインを2000GPUまで拡張できるようにする。4つ以上のコンピューティングチップレットを備えた設計では、I/Oのビーチフロントによって制限されるため、ダイは各チップレット上のNoC(Network-on-Chip)を使用して、それぞれを介して通信する必要がある。「Passage M」シリーズは、Serdesをチップ上のどこにでも配置できる。
Lightmatterは、顧客のチップをPassageインターポーザー上に構築するために、パッケージングハウスのASEおよびAmkorと提携した。
Passage M1000は2025年夏に発売予定だという。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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