Apple純正モデムが始動 「C1」のルーツを探る:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(91)(2/3 ページ)
今回は、Apple「iPhone 16e」と、iPhone 16eに搭載されているApple開発のモデム「C1」について解説する。
「C1」モデムのルーツ
図4はApple C1モデムのルーツである。Appleは2019年、Intelのモデム部門を買収した。Apple C1はその買収後に開発されたものなので、実際にはルーツを探っても意味はないのだが……。Appleが買収したIntelモデム事業も、Intelが2010年にInfineonから買収したものだ。Intelは買収後、Intel製スマートフォンプラットフォーム「SOFIA」シリーズなどに一時期活用したが、ブレークすることなく、2018年の「iPhone XS」から2020年の「iPhone SE2」の4Gモデムに採用された後、Appleに買収されている。
InfineonがIntelに売却したモデム部門は、売却するわずか3年前である2007年に米LSI社から買収したものだ。そしてLSI社も、2007年にAgere Systemsを買収することでモデム事業を手に入れている(LSI社は買収後すぐにInfineonに売却)。つまりInfineonのモデムのルーツはAgere Systemsになるわけだ。Agere Systemsは2002年に米Lucent Technologiesから独立した通信用半導体メーカー。Lucent Technologiesは1996年に米AT&Tの半導体部門が分離され設立されている。ほぼ同時期、日本でも再編、統合が多数行われている。
表1は2000年代のAgere Systemsのモデムチップの一例である。20年前はスマートフォンではなく携帯電話の時代だ。Nokia(TIチップ)、Motorolaなどが圧倒的に強く、日本国内では“ガラケー”(日本製チップ搭載やQualcomm)の時代、アジア向けなどの廉価製品にはAgere Systems製やMediaTek製が多数採用されていた。
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