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「メモリ密度は倍」独自PCM搭載の車載MCUを25年末に量産へ、ST28nmノードで製造(1/2 ページ)

STMicroelectronicsが、独自の相変化メモリ(PCM)技術に基づく最新メモリ技術「xMemory」搭載した、新しい車載マイコン「Stellar」シリーズを発表した。今後発売する全てのStellar PおよびGシリーズ製品にxMemoryを採用する予定で、まず「Stellar P6」を2025年末ごろに量産開始する。

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 STMicroelectronics(以下、ST)は2025年4月16日(スイス時間)、同社独自の相変化メモリ(PCM)技術に基づく最新メモリ技術「xMemory」搭載した、新しい車載マイコン「Stellar」シリーズを発表した。最初の製品として「Stellar P6」を2025年末ごろに量産開始する。

全てのStellar PおよびGシリーズに

 Stellarは、STの32ビット車載マイコンプラットフォームで、Armベースのアーキテクチャを中心に構築された複数のシリーズで構成。具体的には、集中型のゾーン/ドメインコントローラーおよびボディーアプリケーションを対象とし、複数の独立した通信/制御電子制御ユニット(ECU)の機能を統合する統合マイコンとしてStellar PおよびGシリーズ、そしてEVのトラクションモジュールパワーコンバーター制御に向けた電動化マイコンとしてEシリーズがある。今回のxMemoryは、今後発売されるPシリーズおよびGシリーズの全てに搭載する方針で、まずは2025年末ごろにStellar P6を量産開始予定。同じ品番でメモリ構成の異なる複数のモデルをサポートする。


出所:STMicroelectronics

 xMemoryの中核となるのは、ST独自の28nmノードで製造する組み込み型のPCM技術だ。PCMは、ゲルマニウム・アンチモン・テルル(GST)合金で構成され、急速な加熱/冷却制御によってGSTがアモルファス相(高抵抗)と結晶相(低抵抗)にそれぞれ変化する性質を利用。電気抵抗の異なるこの2つの相が理論値0と1に対応し、低電圧での読み出しおよび書き込みが可能となる。

 PCMは、フラッシュメモリなどと比較し高いメモリ密度を実現するほか、1ビット単位で書き変えが可能でデータの書き換え速度も向上。読み出し性能もフラッシュメモリと同等だという。さらに、STの特許取得済み技術によって、リフローはんだ実装時などの高温ストレス下でもデータ保持には影響が無く、あらかじめデータを書き込んだ後、基板への実装を行う事も可能となっている。STは「長年にわたる開発を経て、最小の認定メモリビットセルを備えた、業界をリードする車載用組み込み不揮発性メモリ(eNVM)を実現した。STの画期的なPCM技術はメモリ密度を再定義するもので、従来のフラッシュやその他の先進組み込みNVM技術と比較し、2倍以上のメモリ容量を実現する」と同社独自のPCM技術の利点を特長を説明している。

 同社はまた「xMemoryは既に実績のあるST独自のPCM技術をベースにしたものだ。垂直統合型デバイスメーカー(IDM)である当社は技術を完全にコントロールできるため、その能力を最大限に引き出し、他の競合企業にはない独自のメリットを提供可能としている。入念な最適化によって、われわれはNVM技術の可能性を高めることに成功し、自動車業界が求める高い品質と信頼性を維持しながら、競合他社の半分のサイズのメモリセルを開発した」ともコメントしている。

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