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産業機器×LLMで「ベテラン技術者」を再現、操作をサポート独自NPU搭載のエッジ向けプロセッサ

NXPは「第9回 AI・人工知能 EXPO 春」内「小さく始めるAIパビリオン」にて、組み込み機器上で大規模言語モデル(LLM)を動作させるデモを紹介し、産業機器のユーザーガイドとしての利用例を提案した。

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 NXPは「第9回 AI・人工知能 EXPO 春」(2025年4月15〜17日、東京ビッグサイト)内「小さく始めるAIパビリオン」にて、組み込み機器上で大規模言語モデル(LLM)を動作させるデモを紹介した。

産業機器を操作しながら音声で質問しLLMが回答

 NXPは、自社開発のニューラルプロセッシングユニット(NPU)をマイコンにも搭載するなど、エッジAIに注力している。

 今回、目玉として展示したのはアプリケーションプロセッサ「i.MX 95」上でLLMを動作させるデモだ。i.MX 95について、NXPのブース担当者は「ワンチップで機器のシステムを制御しながらLLMも動作させられる組み込み向けのアプリケーションプロセッサは業界で唯一だ」と説明する。

「i.MX 95」上でLLMを動作させるデモ
「i.MX 95」上でLLMを動作させるデモ[クリックで拡大]
i.MX 95を搭載したモジュール
i.MX 95を搭載したモジュール[クリックで拡大]

 NXPは、産業機器に組み込んだi.MX 95でLLMを動作させ、専門知識が必要な操作のユーザーガイドとして利用することを想定している。専門的な産業機器の操作マニュアルは膨大な量であることも多いが、LLMを利用すればユーザーの状況に沿った返答を短時間で得られるという。

 「技術伝承はAIの大きなユースケースの1つだ。産業機器にLLMを搭載すれば、ベテラン技術者がいるような感覚で操作できる」(NXP担当者)

 デモは、NXPがリファレンスとして2025年3月から提供しているサンプルソフトウェアを使用したもの。ユーザーが音声で質問するとそれをテキストに変換してLLMに入力し、LLMがテキストで出力した回答を再度音声にして返答する。キーボードを備えていない産業機器に対応するものだ。

i.MX 95上でLLMを動作させ、質問の回答を得た例
i.MX 95上でLLMを動作させ、質問の回答を得た例[クリックで拡大]

 LLMのような生成AIは、もっともらしい誤情報を生成する「ハルシネーション」が課題として指摘されていて、信頼性が重視される産業機器や医療機器への導入のハードルとなっている。これに対して、NXPのAI/機械学習開発ソフトウェア「eIQ AIソフトウェア」では、コンテキスト固有のデータからデータベースを作成する手法である検索拡張生成(RAG)を使用できる機能「eIQ GenAI Flow」を用意している。機器の操作マニュアルなど、信頼性を持たせたい情報を用意することで、その内容を参照した回答を得られる。

RAGデータベースを活用することでハルシネーションを防げる
RAGデータベースを活用することでハルシネーションを防げる[クリックで拡大]

 eIQ GenAI Flowでは、AIの専門知識がなくてもRAGデータベースを作成できるという。

 「RAGデータベース作成はAIの専門家にとっては難しいことではないが、組み込み機器の開発者には不慣れなもの。PCやスマートフォン向けではなく、組み込み機器向けの取り組みを続けてきたNXPならではの視点だ」(NXP担当者)

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