NXP、自動車や産業向けi.MX 95ファミリーを発表:高度なAI処理をエッジ側で実行
NXP Semiconductorsが発表した「i.MX 95ファミリー」により、自動車や産業機器で機械学習などの高度な演算処理をエッジ側で実行できるようになる。
「ISO 26262 ASIL-B」や「IEC 61508 SIL-2」に対応
NXP Semiconductorsは2023年1月、「i.MX 9」アプリケーションプロセッサシリーズとして、「i.MX 95ファミリー」を発表した。自動車や産業機器において機械学習などの高度な演算処理をエッジ側で実行することが可能になる。2023年下半期よりサンプル出荷を始める予定。
i.MX 95ファミリーは、最大6個のArm Cortex-A55コアで構成されるマルチコアアプリケーション領域やArm Cortex-M7とArm Cortex-M33 CPUで構成される独立したセーフティ領域などがある。動作環境に応じてきめ細かく電力管理を行うことで、システムレベルの電力消費を最小限に抑えることができるという。
また、高度化するマシンビジョン機能に対応するため、eIQ Neutronニューラルプロセッシングユニット(NPU)やイメージシグナルプロセッサ(ISP)、グラフィックス処理用の「Arm Mali」などを内蔵した。もちろん、自動車機能安全規格「ISO 26262 ASIL-B」と産業用機能安全規格「IEC 61508 SIL-2」に対応する設計となっている。
接続性にも優れている。TSN(Time-Sensitive Networking)機能を備えた10ギガビットイーサネット・ポートおよび、2つの1ギガビットイーサネット・ポートを用意している。さらに、2つの独立したPCIeポートや3つのUSBポートも備えている。Wi-FiやBluetooth LE、5G(第5世代移動通信)といったワイヤレス接続機能も容易に追加することが可能だという。
この他、i.MX 95ファミリーはセキュアエンクレーブを搭載している。これにより、セキュアブートや暗号化、トラストプロビジョニング、ランタイム認証といった重要なセキュリティ機能を容易に実装することができるという。NXPのEdgeLock 2 GO鍵管理サービスと組み合わせることで、デバイスを安全にリモート管理することも可能である。
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