25年度後半から「第二の成長」へ、ソシオネクストの成長戦略:車載、データセンター向け本格化(2/2 ページ)
ソシオネクストの会長兼社長の肥塚雅博氏は、2025年4月28日に開催した決算説明会において、今後の成長戦略を語った。
Googleとの量子コンピューティング向けSoC開発なども順調
ソシオネクストは、同社が展開するソリューションSoCの需要が今後も拡大していくとみている。その背景を示したのが下図で、オートモーティブやデータセンター/ネットワークおよびxPUなど同社がプライマリーエリアとする分野のSAM(獲得可能な最大市場規模)は2024年〜2028年まで年平均成長率(CAGR)12.4%で拡大すると予想。肥塚氏は「技術革新やさまざまな設計の複雑化、あるいは3Dチップレットといったような設計の複雑性が増していく中で、カスタム分野の需要が拡大していくと実感をしている。今後も需要が伸びていくと期待している」と述べていた。
こうした需要拡大に向け、ソシオネクストは先行開発投資を積極的に進めていく。肥塚氏は「特に設計の複雑性が増す中でEntire Design(全体設計)能力があるパートナーが求められており、その設計力を増すために注力をしたい」と説明。2nm以降の先端ノードおよび、チップレット(3D/5.5D)技術の開発などを継続するとともに、EDA企業と協力したSoC設計へのAI導入、エコシステムパートナーとの関係の強化を進めていくとした。
同社はArmおよびTSMCと連携し2nm世代プロセスのマルチコアCPUチップレット開発および設計ツールの実用化、プラットフォーム化などを推進している。また、TSMCの車載向け3nmプロセス「N3A」を採用したADAS(先進運転支援システム)および自動運転向けカスタムSoC開発、Armのアーキテクチャを採用しTSMCの3nmプロセスを使用した高性能コンピューティング(HPC)プロセッサSoCの開発、Googleとの量子コンピューティング向けSoCの開発なども順調に進んでいるという。この他、インド電子情報技術省の主要な研究開発機関であるCentre for Development of Advanced Computing(C-DAC)およびMosChip Technologiesとの提携も発表している。
「人員を質的にも量的にも強化」
この全体設計能力強化に向け、グローバル組織体制を抜本的に改革。2025年4月から研究開発(R&D)チームを、「グローバルリーディンググループ(GLG)」として大規模に拡大し、最高執行責任者(COO)の吉田久人氏と最高技術責任者(CTO)のRajinder Cheema氏を共同リードとした体制を構築。ソリューションSoCのビジネスモデルに沿った複数領域での複数同時(並行)開発を可能とする体制の構築/強化を進めていく方針で、「人員を質的にも量的にも強化していく」とした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ソシオネクストは減収減益、減収の8割超が中国向け
ソシオネクストの2024年度通期(2024年4月〜2025年3月)業績は、売上高が前年度比14.8%減の1885億円、営業利益が同29.6%減の250億円、純利益が同25.0%減の196億円で、減収減益となった。中国の通信機器関連を中心に、中国向けの減少が響いた。「中国大口顧客の在庫調整、読み切れず」ソシオネクストが通期予想を下方修正
ソシオネクストは2024年通期業績予想を下方修正した。売上高は前回予想(2024年10月)比100億円減の1900億円、営業利益は同30億円減の240億円、純利益は同15億円減の180億円を見込む。ソシオネクストがメディカル関連事業をエイブリックに譲渡
ソシオネクストが、メディカル関連事業資産をミネベアミツミの子会社エイブリックに譲渡する。同事業では、主に超音波診断装置およびLSIを展開している。チップレット戦略 Armはどう攻めるのか
注目が高まるチップレットにおいて、Armはどのような戦略を持っているのか。Armのパートナーシップを振り返りながら検証してみたい。ソシオネクスト、2nm技術でArmおよびTSMCと協業
ソシオネクストは、2nm世代プロセスのマルチコアCPUチップレット開発で、ArmおよびTSMCと協業する。開発するチップレットは、大規模データセンター用サーバや5G/6Gインフラストラクチャ、DPU(データプロセシングユニット)、ネットワークエッジ市場に向け、2025年上期にもES品の供給を始める。ソシオネクストがインドに拠点を新設、開発力を強化
ソシオネクストは2023年8月10日、インド・ベンガルールに新拠点を開設し、設計開発力を強化すると発表した。同年8月16日に開設予定で、ソシオネクストの米国子会社であるSocionext Americaの支店として運営される。