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関税の影響で半導体市場変動パターンが変化する可能性 SEMI予測第1四半期は通常通りの季節性変動

SEMIは2025年5月、世界半導体製造産業の2025年第1四半期実績と今後の見通しについて発表した。2025年第1四半期は通常の季節性変動パターンで始まった。しかし今後は、「関税の不確実性により複数の業界で変則的な季節変動が生じる可能性がある」との見方を示した。

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半導体設備投資、2025年第1四半期は前年同期で27%増加

 SEMIは2025年5月、世界半導体製造産業の2025年第1四半期実績と今後の見通しについて発表した。2025年第1四半期は通常の季節性変動パターンで始まった。しかし今後は、「関税の不確実性により複数の業界で変則的な季節変動が生じる可能性がある」との見方を示した。

 SEMIは、TechInsightsと共同で「Semiconductor Manufacturing Monitor」レポートを発行している。この最新版では、2025年第1四半期のデータをまとめた。電子機器とICの売上高に関して、関税による直接的な影響はまだ出ていないという。

 2025年第1四半期における電子機器の売上高は、前期比で16%減少したが、前年同期比でみると「横ばい」である。ICの売上高は前期比で2%の減少となったが、前年同期比だと「23%の増加」となった。

 2025年第1四半期における半導体設備への投資額は、前期比で7%減少したが、前年同期比だと「27%の増加」となった。最先端ロジックや広帯域幅メモリ(HBM)、先進パッケージングへの投資が寄与した。特にメモリ関連への設備投資額は前年同期比で57%と急増、非メモリ向けの設備投資額も15%増えた。

 ウエハーファブ装置(WFE)への投資額は、AIに関連する先進ロジックやメモリへの投資が活発化。これにより、2025年第1四半期は前年同期に比べ19%増えた。第2四半期も12%の増加が見込まれている。テスト装置の売上高は、前年同期と比べ56%増となり、第2四半期も53%増と高い伸びが予測されている。組み立ておよびパッケージング装置も2桁成長となった。

 積極的な設備投資により、ウエハーファブ生産能力も世界的に拡大する。2025年第1四半期には、300mmウエハー換算で4250万枚/四半期を超える見通し。前期に比べ2%増、前年同期比では7%の増加となる。とりわけ日本ではパワー半導体増産に向けた投資が、台湾は最先端ファウンドリーで増産への投資が続く。

 こうした中で、SEMIとTechInsightsは、貿易政策の不確実性などから、「2025年は通常の季節変動パターンから外れた動きをする」と予想している。AIおよびデータセンターに向けた需要の見通しは明るいものの、それ以外の分野では投資の先送りや需要の変化がみられるかもしれない、と分析している。

ICの売上高推移
ICの売上高推移[クリックで拡大] 出所:SEMI
半導体設備投資とファブ生産能力の推移「クリックで拡大」 出所:SEMI
半導体設備投資とファブ生産能力の推移「クリックで拡大」 出所:SEMI

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