128MBの巨大メモリ搭載! ルネサスが64ビットMPU発売:高性能HMI機器の開発期間を短縮
ルネサス エレクトロニクス、高性能HMI向けMPU「RZ/Aシリーズ」として新たに「RZ/A3M」を発売した。RZ/A3Mは、SiP技術により128Mバイトという大容量のDDR3L SDRAMを一つのパッケージに集積している。
大容量メモリは外付け不要、プリント基板上の配線ノイズを低減
ルネサス エレクトロニクスは2025年5月、高性能HMI(Human Machine Interface)向けMPU「RZ/Aシリーズ」として新たに「RZ/A3M」を発売した。RZ/A3Mは、SiP技術により128Mバイトという大容量のDDR3L SDRAMを一つのパッケージに集積した。HMI設計の容易化と開発期間の短縮が可能となる。
RZ/A3Mは、RTOSベースのMPU。CPUコアには最大動作周波数が1GHzの64ビットArm Cortex-A55を採用し、128kバイトのSRAMをオンチップで搭載した。さらに、大容量の画像データなどを格納するために、128MバイトのDDR3L SDRAMもワンパッケージに集積した。
グラフィックス機能としては、最大1280×800(WXGA)の解像度に対応するLCDコントローラやパラレルRGBおよびMIPI-DSI(4レーン)インタフェース、2D描画エンジンなどを搭載している。また、シリアルNOR/NANDフラッシュメモリ用QSPIインタフェース、I2C、USB2.0、温度センサー、タイマーといった周辺機能も備えている。
128MバイトのDDR3L SDRAMを同一パッケージに集積したことで、従来のように大容量メモリを外付けする必要がなく、プリント基板上の配線ノイズを低減できるなど、回路設計エンジニアの負荷も軽減できるという。
パッケージは、外形寸法が17×17mmで0.8mmピッチの244端子LFBGAを採用した。このパッケージは信号端子を主に外側2列に配置している。これにより、安価な2層(両面)プリント基板を用いてHMI機器を設計することができるという。
ルネサスは、ユーザーがRZ/A3Mを用いて高度なHMIソリューションを速やかに構築できるよう、基本ソフトウェアパッケージ(FSP)や評価キット、開発ツール、サンプルソフトウェアなどを含むHMI開発環境を用意している。また、LVGLやCrank、SquareLine Studio、Envoxといったパートナー企業のGUIソリューションも順次利用できるよう準備していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ルネサスが「インド初」の3nmチップ設計センターを開設
ルネサス エレクトロニクスは、インド政府と半導体分野で提携。併せて、インドにある2カ所のオフィスも拡張した。インドの鉄道・通信・電子・IT大臣であるAshwini Vaishnaw氏は「新施設は3nmチップ設計に取り組むインド初の設計センターであり、インドが半導体技術革新のグローバルリーグに参入するための大きなマイルストーンだ」と述べている。マイコンでビジョンAI 危険運転アラートや100人の顔判別も
ルネサス エレクトロニクスは「第9回 AI・人工知能 EXPO 春」(2025年4月15〜17日、東京ビッグサイト)内「小さく始めるAIパビリオン」に出展。画像認識による居眠り/わき見運転の検知など、マイコンで実現するエッジAIの実例を紹介した。スマートウォッチが5カ月電池交換不要に、ルネサスの省電力マイコン
ルネサス エレクトロニクスは、超低消費電力を特徴とするローエンドマイコン「RA0」シリーズの第2弾製品「RA0E2」を発売、量産開始した。また、第1弾製品が熱中対策用のスマートウォッチに採用され、5カ月電池交換無しでの使用を実現したとも公表。「業界最小クラス」(同社)とする同シリーズの低消費電力性能をアピールしている。データを読み込ませるだけでエッジAIが実現 開発ツールを強化するルネサス
エッジデバイス上でAI推論を行う「エッジAI」の導入が拡大する中、ルネサス エレクトロニクスはマイコンやMPUといったハードウェアに加え、ソフトウェアでもエッジAI対応を強化している。同社が提供するエッジAI向け開発ツールやそれを用いた事例について聞いた。「RZ/V2」世代最後の切り札、ルネサスがビジョンAI用の主力MPUを初公開
ルネサス エレクトロニクスが、同社独自のAIアクセラレーター技術「DRP-AI」を搭載するビジョンAI用MPUの新製品でメインストリーム製品となる「RZ/V2」を発表し、ドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2025」で初公開した。機器開発を効率化、ルネサスがプラットフォーム発表
ルネサス エレクトロニクスとAltiumは、ソフトウェア定義型製品の開発を支援するプラットフォーム「Renesas 365 Powered by Altium」を発表した。2026年初頭より提供を始める。