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Wolfspeed「破産申請準備」報道の衝撃、SiCパワー半導体業界の行方電子機器設計/組み込み開発メルマガ 編集後記

まさかWolfspeedが……。報道を聞いたときには衝撃が走りました。

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 この記事は、2025年5月26日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。

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Wolfspeed「破産申請準備」報道の衝撃、SiCパワー半導体業界の行方

 「Wolfspeedが破産申請準備を進めている」――。2025年5月20日(米国時間)にTheWall Street Journalが報じたこのニュースは業界に衝撃を与えました。Wolfspeedは炭化ケイ素(SiC)技術を専門とするメーカーで、クルマの電動化の進展をはじめとするSiCパワー半導体市場のニーズに応え成長を続けてきた、業界の主要プレイヤーの1社です。同社はSiCウエハーおよびSiCパワーデバイスの両方を手掛け、いずれも高いシェアを有しています。特にSiCウエハーでは歴史の長い業界最大手として知られ、直近でも2025年5月12日にTrendForceが発表した市場調査で、N型SiCウエハー世界シェアで33.7%を占め首位に位置する企業とされています。

 ただ近年、中国メーカーの台頭でSiCウエハーの価格低下が進むほか、世界的な電気自動車(EV)需要減による市場減速などの影響を受け、大規模投資を続けてきたWolfspeedは経営が悪化。同社が2025年5月9日(米国時間)に米証券取引委員会(SEC)に提出した決算報告書では、2025年3月末現在で約65億米ドルの負債を抱え、外部アドバイザーに法廷内外での資本再編の可能性を含む、複数の戦略的選択肢の評価を支援するよう依頼、潜在的な事業再編の条件について、特定の債務保有者と積極的に協議/交渉を行っていることなどを説明。短期的な債務を履行するための十分な流動資産を有しているとも主張しつつも、「企業が将来にわたって事業を継続していくという前提(ゴーイング・コンサーン)に重要な疑義があると判断している」と述べていました。

 そうした中で今回、同社が複数の債権者から提示された法廷外での債務再建案を拒否した後、今後数週間以内に、日本の民事再生法に相当する連邦破産法11条に基づく再建計画の策定を目指している、とWSJが報道。実際に破産申請に至れば業界への影響は大きく、注目が集まっています。

Wolfspeedのこれまで、パワーデバイス事業拡大も…

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