Micronが12層HBM4をサンプル出荷 前世代品比で性能を60%向上:量産は2026年開始予定
Micron Technologyは2025年6月、12層HBM4のサンプル出荷を一部の顧客向けに開始した。容量は36Gバイト。メモリスタック当たりの帯域幅は2TB/s(テラバイト/秒)だという。
Micron Technology(以下、Micron)は2025年6月10日(米国時間)、広帯域メモリ(HBM)の新製品として、12層のHBM4製品を一部の顧客向けにサンプル出荷を開始したと発表した。容量は36Gバイトで、同社の1β世代のDRAMプロセスや、メモリ内蔵自己テスト(MBIST)機能などを採用している。量産開始は2026年の見込みだ。
今回サンプル出荷を開始した12層HBM4は、2048ビットのインタフェースを採用。メモリスタック当たり2TB/s(テラバイト/秒)を超える帯域幅を実現した。Micronの前世代品(HBM3E)に比べ、性能を60%以上向上させたという。大規模言語モデル(LLM)やCoT(Chain of Thoughts:思考の連鎖)のシステムにおいて推論性能を加速させるとする。
電力効率も、HBM3Eに比べると20%改善。データセンターの電力効率の向上にも貢献するとしている。
Micronのクラウドメモリ事業部門シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーを務めるRaj Narasimhan氏はリリースで「今回のHBM4製造の成果は、顧客が進める次世代 AI プラットフォームへの対応に沿っており、シームレスな統合と量産体制の拡大を可能にする」と述べている。
なお2025年3月には、SK hynixが12層のHBM4製品のサンプル出荷を開始した。同製品の量産開始は2025年下期を予定している。
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