1γ LPDDR5Xをモバイル向けにサンプル出荷、Micron:厚み0.61mmの業界最薄パッケージ
Micron Technologyは、モバイル機器でのAI処理に適した1γ(ガンマ)ノードベースの低電力DRAM「LPDDR5X」のサンプル出荷を始めた。高速データ転送速度と省電力を実現しつつ、厚みを0.61mmに抑えた業界最薄のパッケージ品も用意した。
次世代スマホに向けて、8Gバイト品から32Gバイト品まで用意
Micron Technologyは2025年6月、モバイル機器でのAI処理に適した1γ(ガンマ)ノードベースの低電力DRAM「LPDDR5X」のサンプル出荷を始めた。高速データ転送速度と省電力を実現しつつ、厚みを0.61mmに抑えた業界最薄のパッケージ品も用意した。
新製品は、極端紫外線(EUV)露光とHigh-k/メタルゲート(HKMG)CMOSテクノロジーを組み合わせた1γノードベースのメモリ。1γベースのメモリとしては、2025年2月にデータセンターやクライアントの次世代CPU向けに「DDR5」メモリを発表している。今回はこれに続く製品で、「LPDDR5X」としては初めて。
1γベースのLPDDR5Xは、10.7Gビット/秒というデータ転送速度と同時に、前世代の1βベースに比べ最大20%の省電力を実現。しかも、次世代スマートフォンに向けて薄型パッケージを用意した。前世代製品に比べると、パッケージの厚みは14%薄い。
AIを活用した翻訳や画像生成などデータ蓄積型ワークロードに対して新製品は、高速でスムーズな処理能力を提供する。長時間の電池駆動も可能である。一例だが、Metaの大規模言語モデル「Llama 2」をベースとしたモバイルAIアシスタントの応答時間を計測し、1βベースのLPDDR5Xと比較した。位置情報に基づき「おすすめのレストラン」を調べたところ、応答時間は30%高速化した。日本語音声をスペイン語のテキストに翻訳しながら「道順」を調べると、50%も早く結果が得られたという。
Micronは、1γベースLPDDR5Xについて容量16Gバイト製品のサンプル出荷を、特定パートナー向けに始めている。今後は、フラグシップスマートフォンの次期モデルに向けて、容量が8Gバイトから32Gバイトまでの製品を用意していく予定である。
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