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微細化前倒しや3層積層の強化……「市場で勝ち切る」ソニーの半導体戦略「高密度化」が進化のけん引役に(1/4 ページ)

イメージセンサー市場において「勝ち切る」と目標を掲げ、技術力強化と成長投資を進めるソニーセミコンダクタソリューションズ。今回、同社社長、指田慎二氏ら幹部らが市場の見通しや事業戦略などを語った。

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 ソニーグループは2025年6月13日、イメージング&センシングソリューション分野(I&SS)の事業戦略などを紹介する動画を公開。ソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、SSS)の社長である指田慎二氏らが、経営方針や中長期事業戦略について語った。

売上高/営業利益は過去最高も「収益性回復は道半ば」

 公開したのは、指田氏が経営方針や中長期事業戦略などを語るプレゼンテーション動画と、指田氏の他、SSSの最高財務責任者(CFO)である高野康浩氏および、最高技術責任者(CTO)の大池祐輔氏が参加するQ&A形式の動画の2本だ。

ソニーセミコンダクタソリューションズ社長の指田慎二氏
ソニーセミコンダクタソリューションズ社長の指田慎二氏 出所:ソニーセミコンダクタソリューションズ

 プレゼンテーションでは指田氏はまず、第5次中期経営計画(以下、第5次中計/2024〜2026年度)の初年度である2024年度の業績について売上高、営業利益とも過去最高を更新したことに触れた。これはモバイル向けイメージセンサーが大判化が期待通り伸張したことが主な要因だという。また2019年度以来、5年ぶりとなるフリーキャッシュフローの黒字化も達成したとした。

 一方、SSSを取り巻く事業環境の不確実性が増していることに加え、利益率も2023年度比では改善したものの「収益性の回復は道半ばだ」と説明。「事業運営の難易度が上がっている中でも、収益性を伴う成長を確実に実現すべく、変化への対応力を高めていく必要があると認識している」と強調した。

歩留まり問題、「不断の努力」で25年度は通常化

 課題となっている収益性については、高野氏が5つの要因について語った。

 1つ目は、地政学リスクによるモバイル市場の構造の変化で、「現在も特に中国ハイエンド市場で中国メーカーのプレゼンス低下が続いている」とした。2つ目はCOVID-19の影響による需給環境の変化でファウンドリーの価格が大幅上昇し、現在も高止まった状態が続いていることだ。この点について高野氏は「世界中で多くのファブが立ち上がっている状況で、中長期的には当社にとって良い状況になることを期待している」と付け加えた。

 残り3つは内的要因で、1つはモバイル向けの新型センサーの歩留まり問題だ。同社が約2年前に直面した課題で、2024年度にも影響が続いたというが、高野氏は「当社エンジニアの不断の努力によって2025年度は通常に戻っている」とも語った。この他の要因としては大判化による投資増加や戦略事業領域の立ち上げ遅れを挙げていた。

市場は30年度までCAGR9%の成長を予測

 中長期の事業の方向性については、従来通り主力であるモバイル向けイメージセンサーを「成長けん引事業領域」、カメラおよび産業/社会インフラ用イメージセンサーを「収益事業領域」、車載センサーやシステムソリューションおよび、OLEDマイクロディスプレイや半導体レーザーなどを「戦略事業領域」と設定し、それぞれの方向性を踏まえて事業を展開すると紹介。モバイル向けイメージセンサーについて「競争に勝ち抜くための技術力強化と成長投資を継続する」と述べた。

 今後のイメージセンサー市場(金額ベース)については、2024年度から2030年度まで年平均成長率(CAGR)約9%で成長する見通しを示した。指田氏は「昨今の不確実な事業環境を鑑み、市場動向は注視していく必要がある」としつつも、全体としては前年度から大きな変更はないとした。

イメージセンサー市場(金額ベース)の見通し
イメージセンサー市場(金額ベース)の見通し[クリックで拡大] 出所:ソニーセミコンダクタソリューションズ

 領域別にみると、モバイル向けはスマートフォンの製品市場が3年前に底を打って以降、非常に緩やかに回復していることに加え大判化も順調に推移していて「引き続きセンサー市場全体の成長をけん引していくと見ている」という。センシング領域も中長期で緩やかに成長していく他、カメラ領域も全体に占める割合は低いものの「一眼カメラの高付加価値機種の需要が顕著な他、動画需要からハンドヘルドなど新たなセット製品の市場が旺盛になっている」と説明していた。

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