半導体製造工程に「量子技術」を本格導入、ロームなど:EDS工程のセットアップロス削減
ロームとQuanmaticは、EDS(Electrical Die Sorting)と呼ばれる半導体製造工程の一部に量子技術を導入し、EDS工程セットアップ時のロスを従来比で40%も削減した。「大規模な半導体製造工程に量子技術を本格導入するのは世界で初めて」(ローム)という。今後、前工程への導入も検討していく。
今後は大規模で複雑な前工程についても量子技術の導入を検討
ロームとQuanmaticは2025年7月、EDS(Electrical Die Sorting)と呼ばれる半導体製造工程の一部に量子技術を導入し、EDS工程セットアップ時のロスを従来比で40%も削減したと発表した。「大規模な半導体製造工程に量子技術を本格導入するのは世界で初めて」(ローム)という。今後、前工程への導入も検討していく。
Quanmaticは、早稲田大学/慶応義塾大学が行った研究成果に基づく量子計算技術効率化のプロダクト群や、量子と古典計算技術を用いた計算フレームワークおよび、専門的な定式化技術などを有するスタートアップである。
ロームとQuanmaticは、ウエハー上に形成したチップの電気的特性をテストするEDS工程で量子技術の活用を2023年1月より検討してきた。2023年9月にはプロトタイプを構築。2024年4月にROHM Electronics Philippinesへ本格導入し検証してきた。その結果、「EDS工程セットアップ時のロスを40%削減」という成果が得られた。
そこで両社は、大規模で複雑な前工程についても、量子技術を活用した最適化計算システムの導入を検討。2025年1月にプロトタイプが完成し、2025年4月よりローム浜松の一部エリアで実証実験を行い成功した。今後は本格的な導入に向け、取り組みを強化していく考えである。
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