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インタビュー

GFによる買収も「MIPSのアイデンティティーは維持できる」MIPS CEO Sameer Wasson氏(3/3 ページ)

GlobalFoundries(GF)がMIPSを買収する。MIPSは過去にも何度か買収を経験してきた企業だ。今回のGFによる買収をどう考えているのか。米国EE TimesがMIPS CEOのSameer Wasson氏に聞いた。

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RISC-Vの推進にも貢献する

 Wasson氏によると、今回の買収の主なメリットの1つは、ロードマップを加速できる点だという。「性能と機能の向上を継続するとともに、RISC-Vの推進にも貢献していきたい。自動車やフィジカルAI、特定用途向けリアルタイムプロセッサにビジネスチャンスがあると考えている」

 「当社はエッジAIに焦点を当てている。当社のIPはハイパースケーラーにも拡張可能で、既に大口顧客とも製造契約を結んでいる。しかし、研究開発の大部分は、エッジにAI機能を導入することに注力している。これは、さまざまなアプリケーションで広く使用されている標準コアだけでは実現不可能であり、アプリケーションに特化したものである必要がある。そのため、当社のコアDNAは今後も、リアルタイムな問題で適切に機能する、アプリケーション特化型コアであり続ける」(Wasson氏)

 「モーター制御を例に取ると、当社の初期製品はほとんどがモーター制御に焦点を当て、それにロボティクスをどのように取り入れ、応用して、自動車に適用するかという点に注力し、多くのエネルギーを注いできた。それがうまくスケールアップすると考えている」という。

 Wasson氏は「これはGFの製造フットプリント、成熟した40nmプロセスノードだけでなく、22nm、そして最終的には12nmにも非常に適合している。つまり、GFの資産と、当社が市場で取り組んできたことを重ね合わせることで、大きな相乗効果が生まれる」と付け加えた。

 GFのプレジデント兼最高執行責任者(COO)を務めるNiels Anderskouv氏は公式プレスリリースで「MIPSには、パフォーマンスクリティカルなアプリケーション向けにカスタマイズされた、効率的でスケーラブルなコンピューティングIPを提供してきたという強力な実績があり、これは、多様な市場におけるAIプラットフォームの進化するニーズと戦略的に一致している」と述べている。

 Anderskouv氏は「今回の買収を通じて、当社は能力を拡大し、より柔軟なRISC-Vベースのオープンプラットフォームソリューションを顧客に提供できるようになる。また、差別化されたプロセス技術と世界クラスの製造を組み合わせることで、顧客による世界クラスの製品開発を支援する。今回の買収は、自動車や産業、データセンターインフラといった幅広いアプリケーションにおいて、効率と性能の限界を押し広げる強力な一歩となるだろう」と付け加えた。

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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