TDKが車載用電源事業から撤退へ、新規開発事業をAstemoに継承:xEV用DC-DCやOBCなど開発
TDKは、車載用電源製品の新規開発事業を会社分割(簡易吸収分割)によってAstemoに継承させると発表した。車載用電源事業は今後の新規プロジェクトの受付を終了し、撤退する予定だという。なお顧客から受注済みの製品については引き続き製造を継続していく方針だ。
TDKは2025年9月25日、車載用電源製品の新規開発事業を会社分割(簡易吸収分割)によってAstemoに継承させると発表した。車載用電源事業は今後の新規プロジェクトの受付を終了し、撤退する予定だという。なお顧客から受注済みの製品については引き続き製造を継続していく方針だ。
TDKの車載用電源事業は、主にハイブリッドカー、電気自動車などのxEVで使用されるDC-DCコンバーターやオンボードチャージャーの開発、設計、製造および販売を展開してきた。
TDKは2025年3月期を初年度とする3カ年の中期経営計画において「キャッシュ・フロー経営の強化」「事業ポートフォリオマネジメントの強化」「フェライトツリーの進化」の3点を重点項目として掲げている。今回の決定についてTDKは「事業ポートフォリオマネジメント強化の観点から本事業の持続可能な成長について社内で検討を重ねてきた結果、xEV向けエネルギーマネジメント技術の高度化に取り組むAstemoに承継させることを決断した」と説明している。
Astemoは、TDKが長年にわたり実用化/量産/市場展開を通じて技術的信頼性を築いてきたDC-DCコンバーターやオンボードチャージャーなどの電源系技術および、それを支える開発人材/資産を含む車載用電源製品の新規開発事業を承継する。Astemoは「本件によって、電動化領域における技術基盤を拡充するとともに、In-Car領域はもとより、充電インフラや電力網との連携を含むOut-Car領域においても、エネルギーマネジメント技術の高度化と再構築が可能となる」としている。
TDKは2025年9月25日の取締役会で、同契約の締結を決議した。吸収分割契約締結日は2026年2月12日、効力発生日は2026年4月1日の予定で、TDKはAstemoが承継する権利義務の対価として、43億円を受領する予定だ。
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