USB PD 3.1対応で高さ3mmのタンタル固体電解コンデンサー:業界標準比で体積25%減
パナソニック インダストリーは2025年9月、導電性高分子タンタル固体電解コンデンサー「POSCAP」のUSB Power Delivery(USB PD)3.1対応製品「63TQT22M」「50TQT33M」を発表した。独自技術で高耐圧と大容量、かつ「業界最低背」サイズを実現する。
パナソニック インダストリーは2025年9月、導電性高分子タンタル固体電解コンデンサー「POSCAP」のUSB Power Delivery(USB PD)3.1対応製品「63TQT22M」「50TQT33M」を発表した。63TQT22Mは63V、50TQT33Mは50Vに対応するモデルで、同年12月から量産を開始する。
独自技術で高耐圧、大容量化 業界標準比で体積25%減
USB PD 3.1は最大240W(48V/5A)の電力供給が可能で、ディスプレイなど大型機器への用途拡大が期待されている一方、ノートPCなどの情報通信機器は薄型化が進み、小型かつ低背なコンデンサーが求められる。
パナソニック インダストリーは小型、大容量に強みを持つ導電性高分子タンタル固体電解コンデンサーPOSCAPを、主に情報通信インフラ向けに提供している。これまでは定格電圧35Vまでの製品を展開してきたが、新たにUSB PD 3.1対応の高耐圧品を製品化した。
新製品ではタンタル粉末材料の配合を見直すとともに、パナソニック インダストリー独自の粉末形成技術を用い、より均一な密度での成形による大容量化を実現。さらに独自の皮膜形成技術によって誘電体酸化皮膜の形成プロセスを最適化し、より均一な皮膜を形成することで高耐圧化を実現した。
これにより高耐圧で22μF以上の大容量、かつ「業界最低背」(パナソニック インダストリー担当者)となる高さ3mmを実現した。「業界標準サイズと比べると体積が25%減になり、使用部材の削減や環境負荷の低減に貢献する」(同)という。
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