中小FPGAに注力する「ぶれない」Lattice 日本市場にも期待:「日本はFPGAの革新が生まれる場所」(2/2 ページ)
ハイエンド領域で争うAMD(旧Xilinx)やAlteraとは一線を画し、中小規模のFPGAに力を入れてきたLattice Semiconductor。同社によれば、FPGAの活用領域は広がっているという。AIのような日進月歩のアプリケーションでは、FPGAの柔軟性が生きるからだ。
日本はFPGAのイノベーションが生まれる場所
――日本市場については、どうみていますか。
Tamer氏 ビジネス面での可能性が非常に大きい市場だとみている。Lattice全体の売り上げに占める日本の売上高の割合は公開できないが、多いと思ってもらってよい。2023年以降、自動車や産業機器は少し厳しい状況が続いていて、これらの領域の売り上げが大きい日本はそのあおりを受けている。だがそれも底を打ち、今は回復期に入っていると楽観的にみている。
三矢高広氏 日本は、産業機器関連のが売上比率が高いので、厳しいのは確かだ。ただ、私も同様に底を打ったという感触を持っている。
Elashmawi氏 日本は、売り上げだけでなく、FPGAのユーザーとしてイノベーションを期待できる市場でもある。2025年7月に東京で開催したプライベートイベント「ラティスAPACテクノロジー・サミット」には、150社以上の顧客とパートナーが参加した。日本のカスタマーは特に次世代のFPGAの使い方について多くのアイデアを発表していた。われわれにとっては、FPGAの将来的なニーズを探る機会になった。
――設計者にとって、FPGAを使う上で何が課題になるのでしょうか。
Elashmawi氏 一つは開発ツールではないか。今日、FPGAの新しいユーザーが増えている。セキュリティやビジョン、ロボティクスといった分野で、これまでFPGAの活用を考えていなかった設計者が、FPGAの使用を検討するようになったからだ。われわれは、ソフトウェアソリューションスタックに投資し、新規ユーザーが使いやすい開発環境を投入している。ソフトウェアソリューションスタックは特定のアプリケーションに向けて用意することも多く、AI用には「sensAI」を提供している。FPGAに慣れていない設計者でも、AI機能を簡単にFPGAに実装できるツールだ。人物検知や物体検知などのアプリケーションをすぐに実現できる。
――2025年7月には、Nexusプラットフォームの一つである「CertusPro-NX」が、三菱電機のコンピュータ数値制御(CNC)ソリューションに採用されたと発表しました。
三矢氏 三菱電機も、産業機器/FA(ファクトリーオートメーション)機器の小型化が課題になっていた。LatticeがFPGAで訴求してきた小型化と低消費電力を認めていただけたと考えている。AMDやAlteraとは異なり、Latticeは規模の小さいFPGAからスケールアップしていく戦略なので、それがニーズに合致したのではないか。
Tamer氏 われわれのFPGAは小型で低消費電力、かつコストパフォーマンスにも優れていると自負している。ロボティクスや自動車から、生成AI、フィジカルAIといった新しいアプリケーションまで柔軟に対応し、顧客に高い付加価値をもたらすと確信している。
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