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MetaがRISC-V新興を買収へ ハイパースケーラーのAI開発競争の行方は「次はNICメーカーか」との声も(2/2 ページ)

ハイパースケーラー企業は現在、チップからアプリケーションまでAI技術スタック全体をコントロールしようとしている。そのさらなる事例として、MetaがRISC-V AIチップのスタートアップであるRivosを買収予定だと報じられている。これによってMetaは、これまで対応していなかった学習用途にも対応するとみられる。

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AIワークロードに向けたハイパースケーラーの買収競争

 MetaがAIチップのスタートアップの買収を試みたのは、今回が初めてではない。報道によると、同社は2025年初めに、韓国のスタートアップであるFuriosaAIに対して8億米ドル相当の買収を打診したが、拒否されたという。Furiosaはこの時、引き続き独立企業として運営していくと述べていたが、買収の申し出を拒否した理由については説明しなかった。同社は後に、韓国の民生機器大手LGが主要顧客であることを発表した。

 業界の経営幹部によると、米国ハイパースケーラーが自社製チッププログラムを進める理由は一般的に、NVIDIAを明確に置き換えることや二次供給者にすること、その利益率を引き下げるためではなく、自社の技術スタックを可能な限りコントロールしたいからだという。

 特殊設計のアクセラレーターは、ハイパースケーラーが自ら確実に管理/把握しているワークロード向けに最適化でき、さらにCPUとアクセラレーターをより強固に統合することも可能だ。ハイパースケーラーがAI能力を巡って競争を繰り広げ、自社インフラでAIを大規模展開している現在では、ごくわずかな性能上の優位性が、重大な競争上の優位性へと拡大していく可能性がある。

 ハイパースケーラーの大規模システムでは、ネットワーキングチップをはじめとするインフラの他の部分との統合強化も、ターゲットの1つだと考えられる。アクセラレーター/CPUメーカーはこれまで、そのようなレベルの統合を実現すべく、スイッチ/NIC(Network Interface Card)メーカーを買収してきた。例えば、AMDとPensando、IntelとBarefoot Networks、NVIDIAとMellanoxなどが挙げられる。

 ただ、報道によるとNVIDIAは最近、スタートアップEnfabricaの主要メンバーを採用し、IPのライセンス供与を受けているという。また現在では、数社のアクセラレーターメーカーが、アクセラレーターと並行してネットワーキングチップの開発にも取り組んでいる。NeuRealityやD-Matrixがその例だ。Metaが近々、その豊富な資金でネットワーキング/コネクティビティチップメーカーを買収する可能性はあるのだろうか。米国EE Timesとしては、もしそうなっても驚くようなことでないと考えている。

 NVIDIAは、同社がEnfabricaを実質的に買収したことや、Rochan Sankar氏をはじめとするEnfabricaの主要スタッフを採用したことのほか、同社IPのライセンス供与を受けていることなどに関する報道について、コメントを拒否している。EE Timesは、MetaとRivosにコメントを要請しているところだ。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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