半導体製造装置向けファインセラミックス、2030年に1.6兆円規模へ:耐プラズマ性や高温耐性などに注目
矢野経済研究所によると、半導体製造装置向けファインセラミックス部材の世界市場は、2030年に1.6兆円を突破する見通しである。今後は、耐プラズマ性や高温耐性、高熱伝導性などに優れたファインセラミックスを用いた部材の需要拡大が見込まれるという。
高性能で高効率な半導体デバイスの需要増が部材市場を押し上げる
矢野経済研究所は2025年11月、半導体製造装置向けファインセラミックス部材の世界市場を調べ、2030年には1.6兆円を突破するとの予測を発表した。今後は、耐プラズマ性や高温耐性、高熱伝導性などに優れたファインセラミックスを用いた部材の需要拡大が見込まれるという。
今回の調査は、アルミナ(Al2O3)や窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、ジルコニア(ZrO2)といった材料を用いた半導体製造装置向けの静電チャックやセラミックスヒーターなどを対象とし、事業者販売額ベースで算出した。調査期間は2025年6〜8月。
半導体市場は、AI機能を搭載したPCやスマートフォンの普及、データセンターにおける高性能で高効率な半導体デバイス需要の増大などから拡大を続ける。半導体製造装置についても、今後は強度や剛性、精度、耐熱などをさらに向上させていくことが求められている。このため、半導体製造装置向け部材の材料として、ファインセラミックスが注目されている。
半導体製造装置向けファインセラミックス部材の世界市場は、2024年に9514億2300万円となった。2025年は前年比12.0%増の1兆658億3600万円を見込む。その後も需要は堅調に推移し、2028年には市場が1兆2320億200万円となる。さらに2030年は、1兆6658億6400万円の規模になると予測した。
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