レゾナック、半導体好調も黒鉛電極不振で69%減益:半導体後工程はAIがけん引
レゾナック・ホールディングスは2025年12月期第1四半期(2025年1〜3月期)の決算を発表した。半導体材料は好調だったものの、ケミカル事業では黒鉛電極の市況悪化に伴い赤字が拡大。純利益は前年同期比69%減となる88億円だった。
レゾナック・ホールディングス(以下、レゾナック)は2025年5月15日、2025年12月期第1四半期(2025年1〜3月期)の決算を発表した。売上高は前年同期比11億円減となる3211億円で、営業利益(国際会計基準[IFRS]ではコア営業利益)は同53億円増(54%増)の148億円、純利益は同198億円減(69%減)となる88億円となった。
半導体・電子材料事業が好調な一方で、ケミカル事業では黒鉛電極の市況低迷の影響を受け減収減益となった。レゾナック取締役 常務執行役員 最高財務責任者(CFO)の染宮秀樹氏は決算発表会で「本業のもうけを示すコア営業利益ではしっかりとした増益を達成した」と強調した。
セグメント別では半導体・電子材料の売上高が前年同期比14%増となる1112億円で、営業利益は同135%増となる196億円だった。売上高の伸びをけん引したのは半導体後工程材料で、特に、AI半導体向けの材料として、絶縁接着フィルムや放熱シート、銅張積層板などが非常に伸びた。染宮氏によれば、後工程材料全体の約10%がAI半導体向けと見込んでいて、AI半導体関連材料の売上高は、2025年度は前年比でほぼ倍に拡大すると予測している。HDメディアや炭化ケイ素(SiC)エピタキシャルウエハーなどのデバイスソリューション分野も増収だった。一方で、半導体前工程材料については、NAND型フラッシュメモリ市場の回復が緩やかだったことから売上高は前年同期比でほぼ横ばいとなっている。
ケミカルは、黒鉛電極の市況悪化が大きく影響し、売上高は前年同期比16%減となる377億円、営業損益は前年同期の8億円からさらに拡大し、55億円の赤字となった。黒鉛電極では中国とマレーシアの生産拠点を清算し、中国および東南アジアで黒鉛電極から撤退するという。黒鉛電極の製造/販売拠点は米国、ドイツ、オーストリア、スペインの4拠点になる。「グローバル拠点の生産体制の見直しを継続する」(染宮氏)と語った。
2025年度の通期予想は、外部環境が不透明なことから同年2月に発表された数値を据え置いた。売上高は前年比305億円増となる1兆4220億円、営業利益は同59億円増(69%増)となる980億円と予想している。
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