米国はGaNパワー半導体製造の中核になるか、NavitasがGFと提携:26年後半に量産開始へ(1/2 ページ)
TSMCが2年以内に窒化ガリウム(GaN)ファウンドリー事業を段階的に終了すると表明して以来、業界にその波紋は広がり続けている。最近、この技術に関する新たな展開があった。GlobalFoundries(GF)がTSMCの650Vおよび80V向けGaNパワー半導体製造技術のライセンスを取得したことに加え、NavitasがGFとの提携を発表したのだ。
TSMCが2年以内に窒化ガリウム(GaN)ファウンドリー事業を段階的に終了すると表明して以来、業界にその波紋は広がり続けている。最近、この技術に関する新たな展開があった。それはGlobalFoundries(GF)がTSMCの650Vおよび80V向けGaNパワー半導体製造技術のライセンスを取得したことだ。
TSMCはCMOS製造における専門知識を活用し2011年、GaN-on-シリコン(GaN-on-Si)技術の開発を開始して以降、同技術の商業化を推進する上で重要な役割を果たしてきた。同社は複雑なエピタキシャル成長、ウエハーの反りや破損、厳格なクロスコンタミネーション(交差汚染)管理といった技術的課題を克服し、2015年にGaN-on-Siプロセスの量産を開始した。
TSMCは当初からGaNプロセスに極めて高い信頼性基準を適用していて、高温/高電圧/高湿度環境での堅牢な動作を確保するため、JEDECおよびMIL-STDの信頼性認証を取得。また、故障検出/分類システムやビッグデータを活用したエンジニアリング解析を導入し、歩留まりおよび欠陥管理も保証している。
TSMCの最大の顧客だったNavitas
GFがTSMCのGaN製造技術を取得を発表してから約1週間後の2025年11月20日(米国時間)、GaNパワー半導体大手のNavitas Semiconductor(以下、Navitas)がGFとのGaNファウンドリー提携を発表した。Navitasによると、開発は2026年初頭に開始し、同年後半にはGaNパワー半導体の生産が開始される予定だという。
Navitasは、GaN分野における「ファブレスとファウンドリーの協業」モデルの典型例だった。米国カリフォルニア州トーランスに拠点を置く同社の躍進は、2017年にTSMCで製造する「GaNFast」パワーICが量産に入ったことに端を発する。同社のGaNデバイスは、AnkerやLenovo、Xiaomiといった主要民生メーカーの急速充電器に採用されている。
それ以降、NavitasはTSMCのGaNファウンドリー事業における重要顧客かつ模範的なレファレンスケースと見なされてきた。TSMCにとって最大のGaN顧客であるNavitasは、米国バーモント州バーリントンに位置するGFの工場で、TSMCの650Vおよび80V向けGaNプロセス技術の認定を受けたGFの高耐圧GaN-on-Si技術を活用する予定だという。
650Vの高耐圧プラットフォームは、電源アダプター、モータードライブ、太陽光インバーターなど、厳しいエネルギー効率要件を持つアプリケーションに対応する。一方、80Vの中電圧プロセスは、サーバやノートPC向けの電源システムを対象としている。
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