編集者が選ぶ「2025年半導体業界の漢字」――「後」:2025年 年末企画
間もなく終わりを迎える2025年。そこで、EE Times Japan編集部のメンバーが、半導体業界の“世相”を表す「ことしの漢字」を考えてみました。
「後工程」で活発な動き 先端技術は2020年代「後半」に注目
筆者が選んだ漢字は「後」です。
いきなり私事にはなりますが、筆者は2025年の8月に転職し、EE Times Japan編集部に加わりました。2025年の前半ごろまでは、半導体といえば「NVIDIAの株価がニュースを賑わせているな」「Rapidusという日本発の半導体会社ができたらしいぞ」くらいの認識で、まさか後半になって、自分も半導体業界に携わるようになるとは思ってもいませんでした。
さまざまな発表会や展示会に参加し、半導体業界を知る中で、とくに印象に残ったのが「後工程」でした。そもそも「前工程」「後工程」という言葉自体、今まで知らなかったこともありますが、レゾナックによるパネルレベル有機インターポーザー開発コンソーシアム「Joint3」の設立や、富士フイルムの後工程向け感光性絶縁膜材料の新ブランド「ZEMATES」立ち上げなど、次世代パッケージ実装に向けた具体的な取り組みや、後工程領域を新たな注力テーマに掲げる動きが各所で見られたように思います。
また、先端技術の分野では「2030年までに」という言葉が度々聞かれました。例えば、NTTは2030年までに100万量子ビットの光量子コンピュータや、光電融合による光チップレットの実用化を目指すと発表し、理化学研究所は2030年ごろの稼働開始を目指して、次世代スーパーコンピュータ「富岳NEXT」の開発体制をスタートしました。きたる2020年代の後半に、先端技術がどのように進化し、形になっていくのか注目したいと思っています。
そして日本全体としても、2025年後半は激動だったといえるでしょう。日本初の女性総理の誕生や1999年から続いた自公連立の解消、ガソリン暫定税率の廃止、年収の壁の引き上げ、日本銀行による政策金利の利上げなど、政治、経済ともに大きな動きが見られました。
個人的に高市総理には、同じヘヴィメタル愛好家ということで勝手に親近感を抱いていますが、半導体やAI、量子、光電融合、ペロブスカイト電池など、所信表明で言及してくれた分野について、2026年はぜひとも積極的な支援を期待したいところです。
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