富士フイルムが後工程材料で新ブランド発表 売上高5倍へ:RDL用フィルム型ポリイミドなど
富士フイルムが、半導体製造の後工程向け感光性絶縁膜材料の新ブランド「ZEMATES(ゼマテス)」を発表した。2030年度までに、感光性絶縁膜材料の売上高を5倍以上に成長させるという。
富士フイルムは2025年12月9日、半導体材料事業の記者説明会を開催した。その中で、半導体製造の後工程向けの材料であるポリイミドを中心とした、感光性絶縁膜材料の新ブランド「ZEMATES(ゼマテス)」の立ち上げを発表した。
ZEMATESブランドで感光性絶縁膜材料の売上5倍を狙う
富士フイルムの取締役・常務執行役員でエレクトロニクスマテリアル事業部長を務める岩﨑哲也氏は「現在、半導体業界では先端パッケージング需要が高まっている。中でも有機インターポーザーの層間絶縁膜はポリイミドが主力の材料だ。富士フイルムの液型ポリイミドは、信頼性の高さが評価されていて、2021年上期から2025年上期にかけて年平均成長率(CAGR)19%で成長している」と説明する。
そこで、再配線層(RDL)および保護膜層用の液型ポリイミド、新開発のRDL用フィルム型ポリイミド、保護膜層用のポリベンゾオキサゾール(PBO)をZEMATESブランドとして集約。液型ポリイミドを中心とした拡販を進めるとともに、フィルム型ポリイミドを早期に投入し、拡販していくという。
「液型ポリイミド、フィルム型ポリイミド、PBO全てグローバルで多数の引き合いがあり、生産が追い付かない状況だ。日米欧に生産拠点を構え、安定した供給体制を構築し、2030年度までに、感光性絶縁膜材料の売上高を2024年度比で5倍以上に成長させる」(岩﨑氏)
先端パッケージングでフィルム型ポリイミドが活躍
富士フイルムのシニアフェローを務める野口仁氏は「富士フイルムの液型ポリイミドは、厚膜形成が可能なため高い耐久性や絶縁性を実現できるほか、多層配線の信頼性向上につながる高膜伸張性を有する。これをベースに、フィルム型ポリイミドを開発した」と述べる。
液型ポリイミドの場合は基板の配線パターンに応じてわずかな凹凸が生じ、層を重ねるにつれてその影響が大きくなる。対してフィルム型はラミネーションプロセスによって高い平坦性を実現し、高積層かつ微細な配線パターン形成を可能にするという。
スピンコートが困難な大型のパネルレベルパッケージでも、フィルム型なら安定した加工性を提供できる。インターポーザーだけでなく、ビルドアップ基板の高機能化にも使える。こういった特長から「大型化や複雑化の進む先端パッケージングにおいて、フィルム型ポリイミドが効果を発揮する。今後大きく成長するとみられる3次元パッケージングの成膜でも、ZEMATESが採用されていくと確信している」(野口氏)とした。
富士フイルムは2025年12月17〜19日に開催される「SEMICON Japan 2025」(東京ビッグサイト)に出展し、ZEMATESを含む同社の半導体材料ラインアップを展示する予定だ。
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