映像が「宙に浮く」ディスプレイ 厚さ1ミリのメタレンズで実現:CES 2026 現地レポート(2/2 ページ)
京セラは「CES 2026」で、スマートウォッチ型の空中ディスプレイのプロトタイプを展示した。独自設計のメタレンズを用いることで「映像が宙に浮いて」見える。メタレンズは厚みがわずか1mmで、従来よりも光学システムを大幅に小型化できる可能性がある。
2Gbpsを実現した水中光無線通信
光を用いた高速な水中無線通信のデモも披露した。水槽内に光送受信機の試作機を2台設置し、青色レーザー(波長405nm)を用いて、カメラで撮影した映像を伝送。通信速度は2ギガビット/秒(Gbps)を実現した。
水中無線通信には、電波や音波を活用する技術もあるが、電波は水中で吸収されてしまい、音波は通信速度に制約があるなどのデメリットがある。そこで京セラは、光を用いた水中無線通信に着目した。子会社のKYOCERA SLD Laserが保有する窒化ガリウム(GaN)レーザーと、GaNレーザーに適した信号を生成する技術を駆使して、2Gbpsの高速伝送を実現したという。伝送距離は15cmほどだ。「自律型無人潜水艇(AUV)が海底/水中の充電ステーションにドッキングした際に、撮影したデータも伝送すると想定している。そのため、それほど長い通信距離は必要ないのではないか」(京セラ)。通信距離が最大5mの試作機も開発中だという。
京セラは、5Gbpsで通信できる試作機も開発中で、ブースでは5Gbpsで通信するデモも見せていた。「光電変換器の高速化や、レーザーの動作周波数の広帯域化によって5Gbpsを実現している。生成した信号を帯域幅に収めるには高い技術力が必要で、われわれはセルラー通信技術で培ったノウハウを生かしている」
広い面積を効率的に測定できるミリ波センサー
その他、60GHz帯を使ったミリ波センサーを展示した。橋脚や建物に取り付け、微細な振動を非接触で測定し、インフラ/設備の予知保全に生かすといったユースケースを想定する。
展示したミリ波センサーは速度、距離、水平方向、垂直方向を測定できる4次元(4D)センサー。1個のセンサーで従来よりも広い面を測定できるので、複数の地点の振動などを効率よく計測できる。測定可能な距離は15〜20mで、測定範囲は±50度。京セラは現在、東京大学と構造ヘルスモニタリング向け技術を共同研究していて、工場の装置の振動モニタリングについて実証実験を実施中だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
8時間の4K動画を5分で伝送! 「世界最速」水中光無線通信、京セラ
京セラは、2026年1月に米国ネバダ州ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2026」に出展する。同社はそれに先立ってプレス向けの説明会を開催し、水中光無線通信技術や3眼AI測距カメラなどの出展内容を紹介した。
排熱をAIの計算資源として利活用する新技術、京都大と京セラ
京都大学と京セラは、排熱をAIの計算資源に変換して利活用する「リザバーコンピューティング」技術の実証に成功したと発表した。この技術を活用すれば、「排熱のムダ」と「AI計算のエネルギーロス」という課題を解決できる可能性があるという。
データセンター省エネの要、光電気集積モジュールを京セラが披露
京セラは、キオクシア、アイオーコアとともに「CEATEC 2025」で、次世代グリーンデータセンター向けの光電気集積モジュール「OPTINITY」を展示した。
「成長の起爆剤に」新電元が京セラのパワー半導体事業買収へ
新電元工業(以下、新電元)が京セラのパワー半導体事業を買収する。京セラが2025年10月に新会社を設立して同事業を移管、この新会社の株式を新電元が2026年1月に25億円で買収する計画だ。新電元は買収による製品ラインアップ拡充および、新たな製品/研究開発の加速などによって、シェア拡大と競争力強化を狙う。
窓に貼り付けるだけ ミリ波5Gのエリアを拡大する透明屈折フィルム
京セラは、基地局から送信される電波の進行方向を変えられる「透明メタサーフェス屈折フィルム」を開発した。この屈折フィルムを窓ガラスやアクリルスタンドに貼り付ければ、景観を損なわずにミリ波5Gなどのサービスエリアを拡大できるという。
「寡占状態を解消したい」 5G仮想化基地局で市場参入狙う京セラ
京セラは、AIを活用した5G仮想化基地局の開発を本格的に開始すると発表した。さらに、無線アクセスネットワークのオープン化(Open RAN)を進めるアライアンスも設立する。

![5Gbpsで通信するデモ[クリックで拡大]](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2601/22/mm260121_kyocera05.jpg)
