TSMCでも足りないAI需要 Rapidusにチャンスか:アナリストの見解(2/2 ページ)
TSMCは2026年、生産能力拡大に向けて520億〜560億米ドル規模という記録的な設備投資を予定しているが、それでもAIチップ需要への対応には不十分とみられている。アナリストは、TSMCの競合企業が参入機会を得る可能性を指摘している。
アリゾナや日本で生産能力を拡大するTSMC
TSMCは、2026年の設備投資費全体の約70〜80%を最先端プロセス技術に充て、その他の10%を特殊技術に、約10〜20%を先進パッケージングとテスト、マスク製造などに投じる予定だとしている。同社は「われわれは過去3年間で、1010億米ドルという記録的な設備投資を行ってきたが、これは今後3年の間に、さらに大幅に増加するだろう」と述べている。
TSMCは米国アリゾナ州で少なくとも3つの工場を建設するための土地を確保しているが、アリゾナへの具体的な設備投資額は明かしていない。また現在、日本とドイツでも生産を拡大しているところだ。
Jones氏は「TSMCは、アリゾナ工場への投資を1000〜1350億米ドル追加し、総額3000億米ドル規模を投じるとみられる。同社のファウンドリー市場におけるシェアは、現在の70%からさらに拡大していくだろう」と述べる。
さらに同氏は「2030年までには、TSMCの売上高は2750億米ドル規模に達し、商用ファウンドリーの生産能力全体の90%を占める見込みだ。この予測数値の中には、IntelとSamsungが独自ブランドのチップを製造するために使用するファウンドリー生産能力は含まれていない」と指摘する。
TSMCは、アリゾナ第2工場の生産開始予定を早め、2027年後半には量産に入る見込みだとしている。第3工場の建設も既に開始していて、第4工場の建設に着手するための準備も進んでいる。また、さらなる生産拡大に向け、近くに新たな土地を取得済みだという。
Wei氏は「TSMCはこの計画によって、アリゾナ州において独立したギガファブクラスタを拡張し、スマートフォンやAI、高性能コンピューティング(HPC)アプリケーション分野の先端顧客のニーズに対応できるようになる」と述べる。この「ギガファブ」とは、TSMCが、業界最先端のチップを製造する台湾の3つのファブクラスタについて説明する際に使用している用語だ。
TSMCの「おこぼれ」がIntel/Rapidusのチャンスに?
SemiAnalysisのアナリストであるJeff Koch氏は「TSMCは供給の管理として、主要顧客に注力しているようだ」と指摘する。TSMCは効率性を高めるために一部事業から撤退したり、より高度なプロセスに対応するために旧式の装置をアップグレードしたりしている。
「TSMCはファブの増設、転換、そして拡張を加速させている」とKoch氏はEE Timesに語った。「TSMCは利益率の高いHPC用ウエハーを優先するので、一部の顧客にとってはAIチップが供給不足となるのは確実だ」(同氏)
AI需要の高まりは、TSMCだけでなく他の先進ロジック半導体メーカーも後押しすることになりそうだ。
「顧客は少なくともAIチップの第2の供給源を模索していて、TSMC以外からの供給を確保するために、AI以外のチップも確実に発注している」とKoch氏は述べる。「SamsungとIntelは需要を満たせるだけの能力があり、喜んでそうするだろう。両社にとって、AI以外のチップは主要顧客とのビジネス拡大への絶好の入り口となる。TSMCは新規の小規模顧客による少量生産にはそれほど関心がない可能性があるので、Rapidusまでもが恩恵を受ける可能性がある」(Koch氏)
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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